火拳のエースと小さなナース | ナノ

おやすみのキスをしよう。(2/6)








少し掠れたゆいの声。
3日ぶりだ。



「ゆい、おはよ。」



「おは、よ…。」



ニコッと笑ったゆいはグッと身体に力を入れて起きあがろうとした。
それをエースはベッドに寝かせる。



「ばか、まだ寝てろ。」



「…もう元気だよ。」



「それを決めるのはナースだろ。」



「うう…わたしだってナース…だ、もん…」



口ごもるゆい。


ナースじゃないですよね?
ナースじゃない癖に…


新入りナースに言われた言葉が頭に過ぎった。



「なにつれねぇ顔してんだよ。
…辛ぇなら言え。もう一人で抱えるな…」



「エース…」



近付いてくるエースの顔に、ゆいはゆっくり目を閉じた。

久しぶりにするキス。
最後にしたのは海の中…?


エースのキスだ…
ゆいの目には、どんどん熱が帯びる。



「久しぶりのキスに感動したか?」



そんなエースからの変な問いに、ゆいは頷いた。

そして嬉しそうに笑う。


まるで今まで何もなかったように…



「ごめんな、本当はもっと早くこうしてやりたかったのに…」



「もう、謝らなくていいんだよ?
…なんかね、エースに謝られたら涙が止まらないっ」



「ゆい…」



嬉しそうに泣きながら笑っていたゆいの表情が、悲しい時の表情に変わっていく。

ポロポロ溢れてくる涙を両手で隠すゆい。
エースはゆいを優しく抱きしめる。



「エース…わたし、エースに嘘付いた…。」



「どんな?」



「エース…わたし、まだ生きたい…っ」



「!」



「エースと一緒に…」



生きたい、


そう言おうとしたゆいの唇はエースによって塞がれた。


少し強引で荒々しいキスだけど、ちゃんと愛を感じる。

ぎゅっとエースの指に指を絡める。

静かな医務室はきっと、ゆいが起きたことを確認したナース達が出て行った証拠だ。


ゆいの上に被さるエースは唇を離し、首元に顔を埋める。




そして言った。











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