疵口に響いた真実(4/7) 「…悪質ね、許せないわ。」 「…先輩、わたしエースと……」 まだ一緒にいれると思いますか? エースはまだわたしの事、許してくれると思いますか? そんな言葉が出てきたが、不意に飲み込んでしまう。 そんな希望なんかない。 エースの中ではもう終わっている話しなのかも知れない。 「…ゆい、エース隊長と話しましょう。」 「え……でも…っ」 「エース隊長は何も知らないのよ? そんな状態でゆいが謝るなんて、ゆいが悪いことしたみたいじゃないの。」 「……そんな勇気…」 うぅ…と俯くゆいの肩をポンポンと叩くナース。 そして、笑顔を見せる。 「あるでしょ? ゆいがエース隊長とまた一緒に居たいっておもうなら。」 エースと一緒に居たい。 思わない筈がない。 こんなに好きなのに。 エースが居なきゃ、こんなにダメになっちゃうのに。 「先輩、わたし…ちゃんとエースと話してみます。」 「そうよ、応援してるわ。 新入りナースならもう心配しないで。白髭海賊団ナースとしてのルール違反だから!」 「はい…!」 いい子ね、とゆいの頭を撫でれば、ほら行ってきなさい…と背中を押す。 「でもまだ洗濯物が…」 「これなら私が済ませておくわ。ちゃんと話してくるのよ。」 「ありがとうございます!」 ゆいはその場で深くお辞儀した。 心の中の靄が薄くなり、顔色もさっきより良くなった。 ゆいは小走りで船中を駆ける。 向かう先は一人。 ← | → |