疵口に響いた真実(2/7) すると、洗濯場の前から女の人の声がした。 入ってくる… 慌てて涙を拭き、タオルを拾う。 ガチャ…と扉の音がなり、入ってきたのは新入りナース。 「あらゆいさん、ごきげんよう。」 ふふふ♪と楽しそうに入ってくる新入りナース。 なぜ楽しそうなのかは、ゆいは痛いほど知っている。 そんな新入りナースに目もくれずに作業を進める。 「エースさんったら、素敵よね。」 いきなりエースの話題。 耳を塞ぎたくなる。 「そうよね〜、サッチ隊長から聞いた?」 「何を〜?」 「エース隊長、女癖酷かったらしいから、セックスはそりゃもう凄く上手いらしいわよ。」 「うそ〜、いいわよね〜、 そりゃ、あんな小さなブスナースじゃあ物足りなかったわよね〜、可愛そうに。」 「ふふ♪ どれくらい我慢してたんだろ、エース隊長?」 「え、でもさすがに任務に行ってる時は抱きまくったんじゃないの?」 「そうよね〜、あんなブスナースに罪悪感なんて感じないでしょ?」 「わたしも、ちょっと近づいたらすぐに抱いてくれそうだわ。 まあアイツより遥かにいい身体してると思うし。」 クスクスと笑うナース達。 隣にわたしが居ることなんて、全く気にしない。 寧ろ、聞こえるように言っている。 ゆいは洗濯物を持ち、その場を立ち去る。 その去り際に… 「はは、いい気みよ。」 トーンの低いナースの声。 一瞬、背筋が凍る。 エースに何かしたのは、もしかしたらこの人達かもしれない。 悔しい。 見事に躍らされた気分だ。 目も合わさずにゆいはその場を立ち去った。 ← | → |