火拳のエースと小さなナース | ナノ

疵口に響いた真実(1/7)









あれからゆいを一度も見かけなくなったエース。



いつも一緒に食事をしていたのに、ゆいと一緒に食事をとらないエースに船中で噂が流れた。



あんなに仲が良かったのに、別れたのかよ。

一体、何があったのか…



実際、別れたのかまだ付き合っているのか、本人達にも微妙なところだが、エースはそんな周りの会話なんて気にしなかった。



「おいエース、まさかあれが原因でゆいと…」



サッチは明らかに青い顔をしてエースの真ん前に座っている。


それじゃねーよ。
口をモグモグさせながら、エースは言った。


じゃあ何があったんだ?
聞けば、エースは皿に顔を突っ込んだ。



「こいつ…いいとこで寝やがって。」



苦笑するサッチ。
そんなお昼が過ぎて行った。











ゆいは一人、ひょろひょろになりながら洗濯場で洗濯。

倒れてしまいそうな自分の身体に鞭を打つように、仕事を続ける。



『謝りゃいいのかよ…なあ?』



エースの言葉が刺さる。
何かしたんだ、私。


甲板で泣いてた時かな…
でもいつものエースなら、きっとマルコと何してたのか聞いてくれるはず…



エースともう、おしまいなのかな?

辛いよ…
わたしが何かしたなら…


謝って済まなくても、謝るよ。

だから前みたいに会いたい。

喋りたい。

笑いたい。

抱き合いたい。

キスだってしたい。



手からスルスルと落ちるタオル。
いっぱい泣いて、枯れるはずの涙だってまだ溢れてくる。



わたしは昔はこんなに弱い子じゃなかったのにな…、





 









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