火拳のエースと小さなナース | ナノ

天国から落っこちた天使(5/8)








新入りナースの言葉が、どうしても頭から離れない。



信じてない訳ではなかった。
信じたかった、ゆいの事を。



ずっと愛してくれていると思っていたが、そうでもなかった。



親友であり、
頼れる仲間であるマルコにとられていた。



ドンッと壁を殴れば、そこは酷く凹んだ。



なんでだよ。

2週間の間に変わったのか?



それとも、もっと前から…?



嘘が下手くそなゆいは、演じていたのか?
大好きってキスしたのも、それ以上も、全部嘘か?




ベッドに寝転んだエースは、舌打ちした。

















「…エースに言ってないのかよい。」



「うん…だって……っ」



「男は言わなきゃ分かんねぇもんだよい。
まあエースも帰ってきた所だから、言えるタイミングなかっただろーがない。
エースはゆいの事、絶対嫌いになれねぇから、ちゃんと今日話せよい。」



温かいマルコの言葉。
何となく心が少しだけ温まった気がした。



でも、やっぱりエースじゃないとダメみたいで、


ありがとう。
もう大丈夫だよ…と涙を拭き、笑って見せた。



もう大丈夫、
きっとエースに話しができる。



「そうかよい。
じゃ、エースんとこ行ってこい。」



「うん…!」



「もうあんな馬鹿なことするんじゃないよい。」



「…ごめんね、マルコ?」



「俺はそれが聞きてぇんじゃねぇよい。」



パッとマルコを見つめるゆいは、うんと頷き、言った。



「ありがとう、マルコ。」



「おう。」



そう言ってスタスタとエースの元へ行くゆい。
やっぱり、自分じゃエースに及ばないな、と苦笑するマルコ。



ゆいの幸せは、自分の元じゃないんだ。



ゆいを抱きしめていた腕に切なさを感じながら、マルコはその場を後にした。






 









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