天国から落っこちた天使(3/8) 甲板へと走ってきたゆい。 船の1番後ろまで来た。 そして、息を呑む。 溢れる涙で滲む視界。 ただ、先程のサッチの言葉が自分の中で響いて仕方がない。 こんなにエースに会えるのを楽しみにしていた自分。 堪えられないくらい辛い日々を送ってきて、やっと解放されると思った矢先…… 帰ってきたエースと最初に会いたいな、だなんて考えていた以前の私に悪すぎる。 もう、希望がない。 靴を脱ぎ、 青い海と船との境界である手すりに登る。 誰もいない甲板。 呼び止める人なんて誰もいなくて、エースですらわたしの隣にいない。 こんなに辛いなら、一掃のこと… ゆいは目を閉じて、海へと身体を傾ける。 足は手すりから離れ、何も身体に触れてない状態。 今の時期の海はきっと、少し冷たいだろうな。 そんな事を考えながら、止まらない涙を海へと落とす。 さようなら。 愛してました。 「…馬鹿野郎ぃ。」 ← | → |