天国から落っこちた天使(1/8) 「…おわった。」 綺麗に並んだ洗濯物。 クラッとくる頭を押さえながら、ゆいはその場を後にする。 少し暗いいつもの廊下、曲がり角を曲がれば、聞こえてくる聞き慣れた声。 「…エース、お前新入りナースちゃん見たか?」 「はあ?」 エースだ、帰ってきたんだ! そう思い、声のする方へ向かえば、自分と同じ方向へ歩くサッチとエース。 そのため、エースもサッチもゆいから見れば背中なのだ。 「エースの好みの子、結構いるぞ?」 「知らねぇし、興味ねぇよ。」 「またまた〜、 女癖悪かったお前が、ゆいだけで満足できんのか?」 そのサッチの言葉に、思わず持っていたカゴを地面に落としてしまった。 はっ…と思ったときには、エースもサッチもこちらを見ていた。 やってしまった…そういいたげなサッチの顔。 「…エース、おかえり。」 そう小さく笑ったゆいは、カゴを拾い、その場から走って逃げた。 「おい、ゆいッ!」 悪ぃ悪ぃ、そう謝るサッチをエースはキッと睨み、ゆいを追い掛ける。 聞かれてしまった。 きっとここ2週間、淋しい思いをしていたゆいに。 サッチの野郎…! 後で覚えとけよ。 カゴを持って、ゆいが行きそうな所は……洗濯場か? 洗濯場へと走って行くエース。 だが、先程のカゴはすでに置いてあり、中には人がいない。 何処へ行ったんだ? 船中を駆け巡るエース。 そんなエースを呼び止める女の声。 ← | → |