誰にも聞こえない、(4/7) 「聞いたぜ。 エースいなくて淋しいだろ?」 「うん…でもサッチと会ったから、元気でた。」 「な…っ お前って奴は…! エースなんかには勿体ねぇな〜!」 「なにそれ〜♪」 と、手すりに寄り掛かるサッチ。 いつも暇してそうなサッチは、喋りはじめると楽しくて時間なんて忘れてしまう。 今日のノルマがあるのに。 「どうだ、新入りナースちゃんは!」 「え…っ」 まずい内容に、ゆいの笑みは引き攣った。 それを見落としたサッチは、どんどん話しはじめる。 「可愛い子、いっぱいだよな〜、さすが親父の趣味だぜ! 先輩ナースと違って俺の事、素敵!だの格好いい!だの言ってきてよ〜、なんか気分いいぜ!」 ゆいはその話に、無理矢理な笑顔を作る。 そうだ…サッチは新入りナースが好きだから…あんなこと言えない。 サッチ、きっと悲しむし、 そんなサッチがわたしの味方をしてくれても、嬉しくない。 サッチには黙っておこう、そうゆいは決めた。 「サッチったら、先輩に怒られるよ〜?」 「はは、ナースの姉ちゃん達には逆らえねぇな。 新入りナースちゃん達も、すげー慕ってるみたいだしよ。」 すげー慕ってる、 やっぱり先輩も新入りナース達と仲良くしできてるんだ。 わたしだけだな… 第一、ナースじゃないわたしの、何処を慕ればよいのか。 当たり前な話しが頭の中を駆け巡る。 先輩にも、言えないな。 新入りナースが入った事で、きっと先輩達も楽になったと思う。 そんな新入りナースの事を……だめだ、絶対に言えない。 ← | → |