誰にも聞こえない、(2/7) 「さあ、お洗濯〜♪」 エースと喋ってきたので、凄くご機嫌なゆい。 今日も洗濯場ではゆいが一人で洗濯している。 洗濯物を取り分けていれば、突然 洗濯場の扉は開いた。 ガチャッ… ゆいは振り返る。 するとゆいとは反対に、機嫌が悪そうな新入りナースが入ってくる。 「…チッ」 大胆にゆいの顔を見て舌打ちした新入りは、ゆいの肩を掴み、押した。 「…いたっ!」 ドンッと、押された勢いで壁に背中を打つゆい。 ゆいが顔を歪ませば、ナース達は笑った。 「…あんた、マルコ隊長にまで媚び売って、最低ッ!」 自分達なんか、あまり喋る相手にもしてくれないマルコ隊長が、何故ゆいと楽しそうに会話していたのか。 ゆいに負けている気がして、腹が立ったナース達。 「媚びなんて…!」 「黙れ、ブス!」 「エース隊長が恋人だからって、調子に乗ってんじゃないわよ。」 「大体、エース隊長にはどうやって近付いたの?身体?」 クスクスと笑うナース達に、ゆいも黙ってはいられなかった。 どうしてこの人達は、そんなに自分の事が気に食わないの? 「そんなの関係ないです! 仕事してくださいよ。」 「はあ? もしかして私達ナースに雑用させるつもり?」 「冗談じゃないわ! あんたと一緒にしないで、この雑用係。」 パンッと綺麗な音が響く。 ゆいの頬にはジンワリと痛みが伝わる。 ← | → |