お前も俺も、有名人(4/6) 朝、今日も一人で学校へ行く。 昨日のマルコの言葉を考えていれば、10分ほど家を出るのが遅れた。 それでもゆいは、エースが来る30分以上前に学校に着く。 家を出るのが遅かったため、2ケツをする自分の学校の生徒と3回ほど遭遇。 片道で6人をぶちのめしたのである。 教室の鍵を取りに行き、いつも通りに教室で勉強を始めるゆい。 でもなかなかペンが進まない。 考えすぎだ… 予習は、文化祭の準備が始まる前に纏めてやっておいたので、授業中に困ることはないが。 いつの間にかチャイムが鳴り、エースがまたギリギリの登場で教室を賑やかにさせる。 「おはようさん、ゆい。」 「おはよ。」 「ゆい、聞いてくれよ! 俺昨日から…「おいエース、授業中だぞ。おに絡むのやめとけ。」 前から飛んで来る、親戚のおじさんの声。 そこには教卓で数学の教科書を逆さまに持っているシャンクス。 後ろをむいて喋るエースの声は結構丸聞こえで。 ゆいの視線は煩いエースでも、逆さまに教科書を持ったシャンクスでもなく黒板だ。 「…、だそうだ。 後で聞いてやるから、静かにしろ。」 「絶対だからな!」 「分かっている。」 はあ…と溜息を零すゆい。 まるで大きな犬の躾をしているみたいだ。 シャンクスはニヤニヤしながら、自分が教科書を逆に持っている事に気づく。 よく教師になれたものだ。 いつものようにエースは寝ていて、その間に授業は進み、エースが起きた。 チャイムが鳴るジャスト1分前だ。 エースはシャンクスが黒板に字を書いている時に、ガムを口に含む。 それを見たゆいは、後から赤ペンを飛ばした。 「いて…っ」 静かな教室にエースの声が聞こえる。 これも、いつもの事のように気にしないシャンクス。 寧ろゆいの行動を面白がって、わざと反応しないのだ。 エースは赤ペンの当たった後頭部を摩る。 女だと言っても、こいつはか弱くない。例外中の例外だ。 ヤンキーに喧嘩を売るくらいの実力者だ。 そんな力で赤ペンが後頭部に当たれば、いくら赤ペンと言っても鋭利なナイフと同等な威力なわけで。 「…今すぐ吐き出せ。」 「もうすぐチャイム鳴るだろ!?」 「授業中には変わりないだろ。」 もう一本赤ペンを握るゆい。 そんなゆいに苦笑する。 「ま、まて。落ち着け。 落ち着いて赤ペンを仕舞ってくれれば…」 その時、チャイムがなる音が聞こえる。 どうやら神様はエースの味方をしたようだ。 ← | → |