お前も俺も、有名人(3/6) 4人で帰り、家がマルコの家の向かいであるゆいは、マルコと一緒に変えるのが日課になった。 「ゆいさ、」 「?」 暗くなっている帰り道。 ゆいとマルコはサッチ、そしてエースと別れて家へと歩いていた。 そんな中、マルコは言った。 「最近明るくなったなぃ。」 「…どういう意味だ?」 「そのままの意味だよい。」 マルコに言われるまでもなく、自覚はしていた。 自分の思考が最近、明るい。 毎週通う墓参りでも、なぜか母さんに明るい話ばかりしている。 そう、明るさの根源であるエースの話。 「…あたしも、思ってるんだ。」 「自覚あんのかよい。」 「奴が来てから、あたしは何かと可笑しくなったみたいだ。」 奴…と、聞かなくてもマルコは解っていた。 エース以外、思い当たらないから。 確かにあいつも変な奴だ。 あの無口で無表情…嫌そうな顔はよくするが、クラスで浮きまくっていたゆいに手を出すなんて。 しかも諦めずに、ゆいをここまで変えてみせた。 「それがお前の本当の顔なんじゃねぇのかよい?」 「え…?」 ゆいは目を見開く。 本当の、顔…だと? 考えたこともなかった。 もし自分の母親が生きていて、父親と幸せに暮らしていたのならば… 自分は元からこれくらい明るかったのだろうか。 こんなに毎日が楽しく過ごせたのだろうか。 でもどうして今更… 「よかったな、エースに会えてよい。」 立ち止まったマルコ。 え、とゆいも立ち止まる。 横に見えたのは自分の家。 考えるのに夢中になっていたゆいは通り過ぎようとしていた。 「…じゃあな。」 「お疲れぃ。」 それぞれ、左右に別れて自分の家に入って行った。 鍵の掛かっている自分の家。 どうやら今日は父親は帰って来ないらしい。 自分の部屋で着替え、ゆいはキッチンで晩御飯を作るのだった。 ← | → |