...だから嘘をついた。(3/7) 「…わたしエースじゃないと、嫌だよ!」 欲しいって思ったモノは、 それが当たらないと嫌なんだろ? 結局、いつもと同じ理由で別れる。 欲しかった俺が、 自分に当たらなくなった。 何でもしてやりたいと思ったのは本当だし、今でも思っている。 でも俺は、ゆいにとってそんな立場じゃない。 そんな立場でいてはいけない。 「…ごめんね、また我が儘。 エース、好きだよ。」 「ああ。」 「だから、さよならなんだよね?」 その一言を口にしたゆいは、部屋から出て行った。 "好き故の別れ" ゆいの方が先に理解してたのかもしれない。 もしかしたら、ずっとそれを恐れながら、ゆいはここに来ていたのかもしれない。 だが、もういい。 ゆいとの最後の時間は終わった。 もう会う事はないだろう。 住む世界が違うのだから。 なのにどうしてだ? 涙が、まだ出てくる。 「…ダメな奴だな、俺は。」 女一人幸せにできる力もないだなんて。 自由を望めば、ゆいを不幸にして。 結局自由が手に入らない。 「俺にはこれが、お似合いらしいな。」 ばたんっとベッドに倒れる。 何を考えようとしても、ゆいの泣いている顔しか浮かばない。 だが生きてるうちに、またゆいを笑顔にさせる奴が現れる。 それがゆいの本当の幸せだ。 生まれ変われば、またゆいがいい。 次はずっと近くにいたい。 こんな別れをしない環境にいて、俺も街で育って… これじゃ未練たらたらだ。 格好悪い。 ← | → |