...だから嘘をついた。(2/7) 「ねぇ、エース… 明日は会える・・・?」 震えるゆいの声。 エースはゆいの言葉に目を見開いた。 頭が真っ白になり、何も言えなくなる。 今にも壊れそうなゆいの声に涙が止まらない。 「エース… お願い、離さないで…っ」 「ゆい…」 「忘れ…ない、でっ」 ゆいは…解ってるんだ。 今から何を言われるか。 そうだよな。 きっと演技をしていたのは自分じゃない。 悲しい顔した自分に気付いたゆいの方だ。 何も言えない…。 何て言えばいいか、解らない。 ゆいは何を言えば傷つかないのか? そんないい言葉が今更、存在する筈がない。 ゆいの鼻を啜る音。 それにさえ耐えられない。 泣かせたくなかった。 自分が先に泣いてしまったのに。 辛いのはどっちだ? そんなのゆいに決まっている。 ゆいに解らない様に涙を拭う。 そして、ゆいを腕から離す。 「ゆい、もうお前とは会わねぇ。」 「…エース、」 「俺はもうお前が好きじゃねぇ。 …だから帰れ。」 嘘を付いた。 全部、全部が嘘だ。 大好きだし、 帰ってほしくない。 ← | → |