何もいらないから自由を下さい(6/7) ゆいの幸せはきっと、ここにはない。 好きならそれでいい、 そう思っていた。 "好き故の別れ"って意味、 マルコも言っていた。 その時は、あんまり理解しなかった。 だけど今はそれが痛いほど突き刺さる。 元秘書野郎に躍らされてるだけだ、 そう思いたいが、生きてる世界がゆいとは違ったんだ。 自分は結局、自由になれない身だ。 今自分が屋敷を飛び出してゆいの元へ行ったとしても、缶ジュースの開け方も知らない世間知らずな自分には、ゆいを養うなんて無理だ。 どっちにしろ、ゆいに辛い思いをさせるだけだ。 こんなに好きなのに。 どうして、上手くいかない? テーブルの上にある、ゆいと一緒に書いたメモ。 これから何がしたいかを書いたんだ。 こんな事したところで、別れが寂しくなる。 引き延ばせば、引き延ばすほど辛い思いをするだけなんだ。 その夜は眠れなかった。 何年ぶりに泣いたのだろうか。 だが、ちゃんと決心した。 マルコ達を屋敷に返してやろう。 翌日、マルコもサッチもナミも姿を現した。 元秘書野郎は、こちらにアイコンタクトをしてくる。 ああ、解ってる。 今日で終いにする。 喜ぶルフィのいない場所に、マルコを呼び出した。 廊下で立ち止まり、マルコの方を振り向く。 「なあマルコ?」 とだけ言えば、マルコは深く溜息を吐いた。 そして、壁に背中を付ける。 「解ってるよい。 …お前は本当にこれでいいのかい?」 「仕方ねぇだろ。 ゆいの幸せは俺んところにないからな。」 これで良いわけない。 本当はこんな決断、死んでも避けたかった。 だけどこうするしかない。 これが1番利口な決断だと気付いたから。 「…そうかよい。 いつ迎えに行けばいいんだ?」 やはり、話がわかっているマルコ。 伊達に何年も俺達の執事をしていない。 元秘書野郎に話を付けたのは昨日の夜中。 その時に言われたのは1週間以内。 それなら、 ← | → |