何もいらないから自由を下さい(4/7) エースはいつも5人でいた部屋に入る。 ゆいを初めて入れたのも、この部屋だ。 無償に腹が立ったエースは、ため息を付いてソファーに座る。 どうすればいい? ゆいにもしもの事があれば… それに、ルフィにも悪い事をした。 大切な友達を、自分のせいで失った。 ルフィは何も関係ないのに。 マルコにナミ、サッチだって何も悪くないのに。 「…俺のせいだ、」 「エースのせいじゃねえ!」 後から入ってきたルフィが、大声で言った。 ルフィは非常にご立腹な様子だ。 「なんでだよ? エースは何も悪ぃ事してねぇじゃねぇか! ゆいのこと好きになって、一緒にいただけだろ!? 好きな奴と一緒にいて、何が悪ぃんだよ!訳わかんねぇ! 俺達だって、街の人達と同じ人間なんだ!」 ルフィと思っている事は同じみたいだ。 そうだよな、 なんで俺達だけこんなんなんだ? 鳥かごみたいな家に閉じ込められて、金持ちとしか恋愛禁止かよ。 やってられるか。 「…なあルフィ、俺思うんだ。 食事に並ぶ高級なワインとか、こんなプールが付いた広くて狭い豪邸とか…… 何もいらねぇ、俺はただ自由が欲しいんだ。」 ずっと思ってたんだ。 最初は一般人が憧れる様な、凄い豪邸にすんでいるのだ、 自慢に思っていいし、誰にでも大きな態度でいい。 そんな教育を受けてきた。 社会において、自分達は偉い存在なのだ。 それを叩き込まれて生きてきた。 だけど、気づいた。 この屋敷で自分達は閉じ込められているだけだ、と。 テレビで見る外の世界に、憧れていた心を気付いた。 外の世界の方が、自由で幸せだと気付いた。 お金があるから、幸せ…なんて現実はどこにもない。 自由がいい。 自由になれるなら、こんな不便のない生活なんてくれてやる。 「ありがとな、ルフィ。 一緒になってあの野郎に怒ってくれて。」 「にしし、気にすんな。 俺だってあいつが嫌いだからな!」 皆は、まあ何とかなるだろう。 そう言うルフィ。 そして、ルフィの腹の虫が鳴ったので、こっそりと調理室で盗み食いをした。 ← | → |