OBLATE SCREEM | ナノ

メモの箇条書き 二人の夢物語(6/7)








金持ちの女は、絶対にこんな事はしない。

格が上の自分に対しては、とりあえず嫌われないように必死みたいだ。



ゆいはそんなぎこちない動きを一つも見せない。

クッションを抱くゆいを抱きしめる。



「俺はこのクッションが落ち着くわ。」



「ん〜、クッションあげるから、我慢しなさい。」



「なんか冷たいな、」



「反抗期だからね。」



「遅ぇ反抗期だな、おい。」



もっと力を入れて抱きしめてやる。

そうされても大人しいゆいに、反抗期は来てないらしい。



「エース、わたしね、」



「?」



「この豪邸の門潜ったとき、怖くなった。

急にエースが遠く感じたっていうか、わたしにはエースはやっぱり遠い人だったんだなぁ…って。

帰りたくなったの。」



「ああ。」



「でもね、屋敷に入った時にエースが名前呼んでくれたでしょ?

凄く安心したんだよ?

やっぱりエースはわたしの知っているエースだって。
それにルフィやナミさんやサッチさんだって、意外といい人だったし。」



「、…いい奴らだろ。
例えどこに住んでようと、誰の息子であろうと、俺はポートガス・D・エースには変わりゃしねぇ。

1人の人間であって、ゆいの恋人だ。」



「そうだね。」



ゆいは可笑しそうに笑う。

そして、エースを見上げる。



目が合えば、自然な流れで瞳を閉じる。
そして唇を重ねた。



ゆいとキスするのは初めてではないし、それ以上だって終わってる。



だけど、こんなんじゃあゆいが足りない。

高い高い壁が邪魔をする。



それでも、ゆいとはずっと一緒にいたい。



「エースのお家に来れたのは、わたし達の大きな一歩だね。」



そんな事を言うゆい。
確かに、それは自分でも思った。






 








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