5分・・・いや5秒でいい、(5/6) あれから、ちょっとの隙をついてはマルコに街まで送って貰った。 何回も逢って、ゆいの家にまでお邪魔したことだってあった。 お互いの事を結構知ったし、ゆいもそんな生活に満足していた。 ただ、やっぱり思う。 こそこそしないで、ゆいといれたら… 俺がロジャーの息子だって公開して、手を繋いで歩けたら… 未だにサングラスは外せない。 俺のせいで今までできなかった事だって、全部してやりたい。 俺の為に色々我慢してきたゆいに、これ以上負担をさせたくない。 5分…いや、5秒だっていい。 そんな時間を過ごせたならば… って、本人であるゆいは満足してくれているのに、俺は欲張りだよな。 今の状況でも幸せだと思わないと… 「エース、」 いつもの様に屋敷を抜け出したエース。 そしていつもの様に運転をするマルコはエースに言った。 「ゆいのこと、好きかい?」 ゆいの事はマルコは知っていた。 と言うより、自分で話した。 ルフィとサッチも知っている。 「当たり前だろ、」 「お前、ちゃんと覚悟はできてるのかよい?」 「?」 「ゆいは一般市民だい。 もし元秘書野郎にバレたら、ゆいは金を積まれてでもお前との別れを脅迫されるだろうよい。」 「!」 マルコの言葉がとても重く感じた。 そう、最初はそれをちゃんと考えてた。 ゆいだけではない。 きっとゆいの家族や友人にまで手をかけかねない。 だがあくまで自分との関係がばれれば… 「ゆいと別れろとは言わねぇし、もう会うなとも言わねぇよい。 だけどな、"好き故の別れ"ってのもちゃんと理解しとけよい。」 「"好き故の別れ"…か、」 意味が分からない。 何故好きなのに別れなければならないのか。 好きなら、誰にも否定なんてさせねぇ。 たとえルフィまでもがゆいとの関係を否定したって。 あんまり理解していないエースに苦笑するマルコ。 幸せはいつまであるか分からない。 得にロジャーの息子であり、あのクソ真面目元秘書野郎がつくエースには… マルコなりにはエースを自由にさせたいとは思っていた。 それは、自分と重ねてみれば苦しいと思ったからだ。 ← | → |