脱獄常習犯 | ナノ

老朽化には勝てません。(7/7)








「…んだよ、そんなんでいいのか?」



「うん。…わたしの手錠、左手だけ外れなくて、能力使えないの。元々、白ひげさんとは面識あったし、火拳のエースを逃がすのも悪くはないかな、て。」



「親父と知り合いか。
まあ、ここから出られるんだったら何だっていいけどな。」



「それじゃ外してあげる。
よろしく、火拳のエースさん」



そう言って、ゆいはエースの手の錠、足の錠、壁との錠を全て外した。


外れた瞬間、火拳のエースの身体が燃え上がる。
牢屋の温度が一気に上がった。



これがメラメラの実の能力者。
解放されたエースは、今まで見た顔では想像がつかない程の笑みを浮かべた。



「ありがとな。」



キュッと胸が絞まる。
すごく格好いい。



この人が捕まってくれてて、本当に良かったと思う。



「…しかし、あれだな。」



「?」



牢獄を歩いていれば、先ほど倒した見張り番が転がっていた。

それを見たエースは言った。



「脱獄のゆいって、マジですげー奴だったんだな。」



「…わたしの話、嘘っぽかった?」



「いや、そうじゃねーけどよ。
手配書見る限り、そんな女には見えなかったし、今見てもこんな事するような女には見えねぇし…。」



倒れている見張り番を指差すエース。
それにゆいは笑う。



「よく言われる。
まあ伊達に今回の脱獄含めて15回も脱獄してないよ。」



それにわたしも一応、危ない世界を生きる能力者だしね…、と付け加える。


今は能力を使えないだけで、ちゃんと能力者の部類には一応いる。

能力は使えるものの、基礎体力をつけないと、今頃脱獄できていなかったかもしれない。



「15回目って、お前歳いくつだ?」



「18歳。」



「…最初に脱獄した歳は?」



「13歳かな、
そういやあの頃は手錠がでかくて、簡単に逃げれたなあ…」



「…1年に3回のペースで逃げてんのかよ。」



「そうなるね。」



ははっと笑うゆいに、一切そんなイメージがつかなかったエース。



まあ、確かに自分もゆいの脱獄を楽しみにここ数年新聞を見ていたのも事実で、会えて嬉しかったのも時事だ。








continue...









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