老朽化には勝てません。(4/7) そんな中、外からいつもの見張り番の声が聞こえた。 「しかしインペルダウンも物騒だな。無限地獄にはあの脱獄のゆいと火拳のエースが幽閉されてるんだぞ?」 「しかも2人とも同じ奴が捕まえたんだって? …そいつは黒ひげとか名乗ってるらしいぜ。」 「上には上がいるんだなぁ… 火拳のエースはロジャーの息子だから公開処刑が決まったらしいぞ。」 「嘘だろ、あいつ海賊王の息子だったのかよ。」 「通りで人間じゃない訳だぜ。 この間、牢獄覗いたらすんげー目で睨んできてよ…怖かったぜ。」 「はは、何ビビってんだよ。 それに比べてゆいは意外と大人しいな。 もう脱獄も諦めたんじゃねーの?」 「脱獄のゆいもこれまでだな。」 「さすがにここからは出られないだろ。」 そういいながら通り過ぎて行った。 「…それが出られちゃったり。」 わたしを誰だと思ってる? 脱獄常習犯のゆいだぞ! 海楼石意外の鎖が切れているゆいは自分の牢獄の中を自由に動ける。 「…火拳のエースか。」 白ひげとは面識があるゆいにとって、こんなにいい条件はなかった。 さすがにインペルダウンときたら外の警備も厚いだろう。 火拳のエースの錠を外す代わりに、近くの街まで援護してもらおうか。 火拳のエースと名の通る奴だ。 絶対に1人で逃げるより楽だ。 まず、牢屋から出なければ。 それに火拳のエースは公開処刑を控えているらしい。 できるだけ早くしなければ。 「…能力が使えたらなあ、」 つくづく思う。 だが今は海楼石を嵌められている身。1つずつ横の石を調べる。 すると、ゴゴッと1つだけ動く石を発見。 「まさか、な。」 石を力一杯引いてみる。 そうすれば、石は簡単にこちらへ動く。 さすがのインペルダウンも、建物の老朽化には勝てないらしい。 ← | → |