歴史上最高の脱獄劇(1/8) 動かないゆいのビブルカードを握りしめながら、エースは勘を頼りにとある場所まで急ぐ。 ティーチを見つけて1日が経とうとしていた。 ゆいの行方だけが未だに解らない今、エースの不安は増す一方だった。 誰よりも早く黒ひげの情報を入手したゆいは、自分達の為に危険を侵しただなんて、許される話ではない。 せっかく馴染んできたのに。 命を助けてもらった恩返しは、まだ終わってはいないのに。 それに、まだ言ってない事だってある。 消えるなんざ、許さねぇよ! ある島に着いたエースは、信じられないさ新聞記事を目にした。 「脱獄のゆい、2日後に処刑…だと!?」 自分が向かっていたのはマリンフォード。 なら、きっとゆいは海軍本部であるマリンフォードにいるはず。 ここからは近い。 今日中に着けるだろう。 「…待ってろよ、ゆい! 絶対ぇ助けてやる…っ」 エースはストライカーを全速力でとばした。 まだ死なれては困る。 ゆいが処刑されることはないのに。 モビーディック号では、新聞の記事に敏感になっていた。 ティーチの居場所、そしてゆいの安否… 不安が達こむ中、新聞が届く。 「親父ぃぃぃいいいッ!!!!!」 新聞を受け取ったクルーが、慌てて船長である白ひげの元へ翔けてくる。 その手に握られた新聞。 見出しの記事に、大きく書かれてある文字に、集められた隊長達は息を呑んだ。 「ゆい、処刑かよい…っ」 「マリンフォードだ、マリンフォードに航路変更!」 「待てよ…明後日じゃ、間に合わねぇぞ!」 「くそッ!」 酷く焦り、絶望すら薄く滲み出る空気に、白ひげは笑って言った。 「グララララ、お前ぇら誰か忘れてねェか?」 その白ひげの一言に、クルーの顔が上がる。 考えている者が殆どだが、その中でマルコが一人ボソリと呟いた。 「エース…」 その言葉に皆の顔色が変わる。 そうだ、エースがいた! エースなら何とできるだろう! 次々とエースへの期待の言葉が出てくる。 だが実際、エースがゆいの処刑に既に気付いているのかが問題だ。 ← | → |