老朽化には勝てません。(2/7) 「号外〜、 脱獄のゆい、脱獄〜!」 そう大声で叫びながら号外をばら撒く男。 その号外を拾う人々の顔は笑っていた。 「また逃げたのか?」 「すげーな、今回の懸賞金は?」 「うわ、9000万ベリーだってよ?前回より1000万ベリーも上がってるぜ。」 「いや〜、今回はどうやって逃げたんだろうな?」 「全く、面白い女だな〜、」 「噂によれば超可愛いらしいぜ?」 「まぢかよ、見てみてぇな〜!」 「次はいつ捕まるんだろーな?」 「楽しみだな〜、 俺、3回目の脱獄ん時からファンなんだよ。」 「俺は前回の脱獄だな。 あれは見事だった。」 盛り上がる街。 賞金首が世に解放されたにも関わらず、人々は楽しそうに宴を始めた。 それもそうだ。 今回で脱獄のゆい脱走は14回目にもなる。 皆の注目を集めない訳もない。 いつからか、ゆいの脱獄は世界を賑わす大ニュースになった。 賞金首は危ない。 だがゆいは別だった。 ゆいが現れた街の人は、彼女に差し入れをしたり、寝泊まりさせてやったり親切だった。 それに人々は知ってる。 ゆいが悪い人ではない事を。 ゆいが賞金首になったのは、シャボンディー諸島を訪れたゆいが、一度だけ天竜人の前歯を折ったことから始まったのだ。 掛金50万ベリーからスタートした。 そして捕まった。 そして脱獄。 何度か脱獄を繰り返す度に、ゆいの懸賞金は徐々に増えていき、今ではこの有様だ。 人々はゆいの脱獄を毎度見物にしていた。 それを知っているゆいも、捕まればできるだけ脱獄の方法を華やかにしていた。 正直、もう捕まる気はこれっぽっちもないが。 だが、14回目の脱獄を終えて3ヶ月後に悲劇が降り注ぐ。 ← | → |