脱獄常習犯 | ナノ

彼と彼女を繋ぐモノ。(4/6)








痛い。
体中が悲鳴を上げている。


どうやら悪魔の実の能力者は、そう簡単には死ねないらしい。



目を開けば、見慣れた暗闇。
薄く照らされる炎。


そして体中を取り巻く鎖。



どこかの牢獄なのだろう。



自分の墓場は、牢獄が1番お似合いであるのだろう。

海楼石で能力を使えない身に戻り、塞がる筈の傷口も癒えが遅い。


自分の身体の冷たさが、どこも触れていないのに感じる。



生き延びるには厳しすぎる状況。

そしてもう、とりでである脱獄さえも頭の中にはなかった。



死ぬんだ。

こんなに痛くて冷たいなら、いっその事 殺して欲しい。



もう一度エースに会うだなんて、夢物語をほざける体力すら残ってない。



人生に幕を下ろすには、まだ早い気がするが…

後悔はない。

最後に白ひげ海賊団を知れてよかった。



親父さんに怒られるね。
自業自得だよ。


エースは淋しいかな?

わたしがいなくなったら、エースは普通の日常に戻るんだ。

淋しいとか、ないだろう。



でも、少しだけでめ一緒にいられてよかった。

エースに恋して、よかった。






思い出せば、涙が溢れる。
払おうにも、両手は塞がっている。



こんな所で死にたくない。

こんな歳で死にたくなんて…!



諦めた端から次々と出てくる後悔。

本当に心が弱いんだな、と苦笑する。





すると、重たい鉄の扉が音を立てた。

どこの部屋だろう。


風邪がすっと頬を通った。


この部屋だ。



「…誰?」



ゆいの小さな声が牢獄に響く。

足音は次第にこちらに来て、姿も見えた。


海軍の制服。
しかもお偉いさんの…っ



「…脱獄のゆい、か?」



ゆいは頷く。



「わしはガープじゃ。」



「ガープ、て海軍の中将!?」



ガープはゆいの目の前に腰を下ろし、優しく笑った。





 








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