彼と彼女を繋ぐモノ。(2/6) 黒ひげから離された腕。 ゆいは蹴った勢いで地面に転がった。 生まれて初めての弾丸は酷く痛み、ゆいは顔を歪めながらも立ち上がった。 また引き付けられては、たまったものではない。 黒ひげが立ち上がる前に、薔薇の刺の生えた蔓を纏うゆい。 そのまま黒ひげに突っ込んだ。 黒ひげの血なのか、自分のか解らなくなるくらい戦った。 黒ひげ船員は、黒ひげの能力に巻き込まれるのを恐れて、隠れている。 小さなかすり傷から、大きな切り傷まで身体は傷だらけだ。 立ち上がれなくなったゆいは、地面に倒れ込む。 もう立つ気力など残っていない。 黒ひげも、ぜいぜいと息を上げながら地面に座り込んでいた。 「…心なんざ、ちっとも痛まねーぜ。」 いきなり黒ひげは言った。 ゆいには何が言いたいのかが解らない。 だが、ふと思い出した。 そう言えば自分は先ほど黒ひげに心が痛まないのかを聞いた。 黒ひげは立ち上がり、ゆいの頭を掴んだ。 持ち上げられ、黒ひげに聞かれた。 「俺らの仲間にならねぇか?」 仲間…? ふざけやがって。 仲間の仲間を殺した奴と仲間になれだなんて。 「死んでも嫌だ…。」 現に自分はこの男に一度、世界政府に売り付けられたのだ。 そんな男と仲間になれるわけがない。 残念そうな黒ひげの手に、力が篭るのが解る。 ゆいは目を閉じた。 「そんじゃあ死んでもらわねーとな。」 物凄い力が来る。 そう感じたゆいは、目を開き、黒ひげを睨んだ。 「死ぬのはお前だ。」 ゆいの低い声。 後ろからいきなり生えた巨大な人食い花は、黒ひげを飲み込む。 契れた黒ひげの腕から解放されたゆいは、その場に倒れた。 最後の人食い花に、全ての能力を使ったゆいは力尽きた。 ← | → |