脱獄常習犯 | ナノ

あなたのため、わたしのため(6/6)








急に顔色が変わったエースを、皆が見る。

エースはズボンのポケットを探りながら、ある一枚の紙を出した。



「親父、」



「ゆいのビブルカードかァ?」



「おう、会ったときに交換して…
なあ親父、頼みがある。」



白ひげを強く見上げるエース。

透き通った黒の中に、強い何かを感じる。



白ひげはキッとエースを睨んだ。



「ハナタレ小僧が、先に行ってて何ができるんだァ?」



「…っ
何でも、だッ!!」



「おめぇみたいな気持ちを持ってる野郎なんざ、この船に数え切れねぇほどいるんだ。
それを黒ひげに一度敗れたハナタレ小僧に行けと言えると思うかァ?」



白ひげの威圧。
これが自分の大事な娘と、大事な息子に対しての思いだと感じる一同。



だが、エースだけは怯むことなく白ひげを見ていた。



「俺は一度負けた、だから強くなった。この命はゆいに助けられて、今ここにあるんだ。
そんな命の恩人が今から俺らの為に命張るなんざ、俺は許さねぇッ!

ゆいから貰った命だ、ゆいを守るために使いたいんだ!



エースの言葉に驚く隊長達。
こんなに白ひげに言い返す奴がいれだろうか。


白ひげも少し黙ってエースを睨んでいたが、いきなり笑い出した。



「グララララ、よく言ったエース。好きにしろォ…その代わり、俺達が追いつくまでヘマすんじゃねェぞ!」



「親父…!」



「さっさと行け、馬鹿息子!
大事な嫁さん候補、助けるんだろォ?」



「よ、嫁さん…!?」



気の抜けたエースの声に、皆が笑った。



最後まで格好よくキメることのできなかったエースの肩を、マルコが笑いながら叩く。



「しっかりやれよい。」



「おう!」









continue...












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