脱獄常習犯 | ナノ

あなたのため、わたしのため(1/6)







ゆいは今回の脱獄劇とエースを助けた大まかな理由、そして自分が黒ひげに捕まった事を白ひげに話した。


奴は能力者で、他の能力が利かない能力を持っている。



実際に戦闘したゆいやエースは、どんなにその能力が厄介であるかを白ひげに伝えた。



「すまねぇな、ティーチの事までお前に世話かけてたァとはな。」



「この通り、逃げれたし問題ないよ。
それに、捕まったわたしも悪いしね。」



正直、黒ひげという無名な奴に負けるとは思ってなかった。
油断したわたしが悪い。


だけど、このままだと後味が悪い。

やられてばかりでは、気が収まらない。


それに白ひげ海賊団内の事情を聞いてしまったからには、殴らなければいけない気がする。



難しい空気のままだったが、最終的には白ひげがグララララと笑って宴の準備が始まったので、その場は終わった。



「エース、ゆいに部屋を案内してやれ。」



「おう。」



短い返事をして立ち上がったエース。

それに続いて、ゆいも付いて行く。



外見といい、歩いた感覚といい、この船で絶対に迷子になる自信があった。



キョロキョロしながら歩いていれば、ガッと腕を捕まれる。

驚いて腕をみれば、エースの手にしっかりと掴まれている。



「よそ見はいいけど、迷子になるなよ。」



「りょ、了解…っ」



同じ部屋がこんなに並んでいるのに、どうしてわかるの?

そう言いたくなる程、同じ扉が並ぶ廊下。



エースに手を引かれながら、歩く速さの違うエースに少し小走りになる。


だが先程みたいにキョロキョロできなくて、エースに掴まれている腕に神経の半分以上がいっていた。


やばい、意識し過ぎだ…っ

できれば部屋はここから遠い所であって欲しいと少しだけ思ったゆい。






「ここだ。」



ガチャッと部屋の扉を開けたエース。

きっと使われてない部屋で、埃とか蜘蛛の巣とかがいっぱいなんだろうな、と思いながら部屋へ入ったゆい。



だが、その部屋は意外と綺麗だった。



クローゼットと机、ベッドと窓しかない殺風景な部屋だが、掃除された跡があったのが嬉しい。



「綺麗だね、」



「ああ、多分親父はゆいが来ること分かってたんだと思うぜ?」



「え…っ」





 









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