解放されたわたし (4/6) 「どうして隊長を助けてくれたんっすか?」 「俺ら、ずっとファンだったんっすけど、もっとファンになりましたよ。」 「今回の脱獄はあのインペルダウンのLEVEL6っすよ? LEVEL5までしか存在しないって聞いたことあるのに…どーやって逃げたんっすか?」 歩いている間、ゆいに質問攻めの隊員達にエースはため息を吐く。 きっと船に帰っても同じ様な事を色んな人から聞かれると思うと、ゆいが可哀相だ。 「あのなあ、お前ら…! ゆいは俺の命の恩人なんだぞ、もっと丁寧に扱え!」 海賊なのに、自分に敬語で喋りかけて来る隊員は、立派に丁寧さを見せてくれていると思うゆいは苦笑する。 エースの言葉にションボリとする隊員達。 ゆいの隣のエースは、帰ってきて早々、相変わらずな態度だ。 何気にそれも嬉しそうなマルコや隊員。 まあ気付いてない本人であるエースには内緒な話だ。 そしてたどり着いた港には、大きな船があった。 きっとこの船なのだろう、と思っていれば、まさにその中へと案内される。 「(迷子になりそうだな…っ)」 流石、世界に名の知れる白ひげ海賊団だ。 中に入れば、エースを見た隊員達が次々とエースに寄ってたかる。 それだけエースが大事な存在なんだな、と羨ましくなる。 先に親父だ、とエースとマルコの間に挟まれるゆいは、流されるまま船内を歩く。 やって来た部屋を最初に開けたのはエースだった。 嬉しそうに跳んで入ったエースに、ゆいとマルコも部屋へ入る。 「親父、今帰った!」 エースの大きな声が部屋に響いた。 中には前に会ったときと変わらない白ひげの姿。 エースが前に出れば、大きな拳がエースの頭をコツンと叩いた。 「ってえ〜!」 「グララララ、元気そーじゃねぇか、アホンダラァ。」 怒っているのかと思えば、笑っている白ひげ。 その表情も、やはりとても嬉しそうだった。 痛ぇ、と頭を自分の撫でながら、エースは笑って言った。 「へへっ心配かけたな、親父。」 「全くだァ馬鹿息子。」 どうやら白ひげ流のお説教は終わったみたいだ。 エースは傍に立っているゆいを手まねいた。 ← | → |