解放されたわたし (3/6) 「隊長、マジで脱獄したんっすね!」 「おう、マジで脱獄しちまった。」 マルコの後ろに立つ涙目の男達に、エースは笑った。 これが白ひげの息子達… 確かに白ひげ並に仲間思いだ。 「ゆいが逃がしてくれたんだ!」 「ゆい?」 スーッと視線がエースからゆいに向けられる。 ゆいは挨拶しなきゃ、と自分を隠した布を脱ぐ。 隊員は驚き、キラキラした目でゆいを見る。 「うわ…! 本物っすか、エース隊長!」 「もちろん本物だ! 本物の脱獄のゆいだ。」 ジーッと興味津々な隊員に見られているゆい。 身体に穴が空いてしまいそうです。 「…んなに見てやるんじゃねーよい。」 マルコさんの一言で、視線は外れる。 ホッとしたゆいは口を開く。 「エースの仲間さん?」 その問いに、エースは嬉しそうに頷いた。 「ああ。1番隊隊長とその隊員、そんでこいつらが2番隊隊員だ。」 隊員はゆいに笑い掛けた。 それにゆいも微笑み返す。 そして1番隊隊長であるマルコがゆいに右手を出す。 「マルコだぃ、よろしくな。」 その右手にゆいの右手を重ねる。 ぎゅっと一回り大きな手は、手錠をするりと抜けてしまう程の小さなゆいの手を握った。 「ゆい、よろしくね。」 手を離し、見上げた先のマルコの表情は穏やかであった。 この人はきっと、優しい人だ。 海賊っぽいと言えば海賊っぽいが、表情には出ないエースとの再開に嬉しく感じるマルコの気持ち。 それを見透かしたゆいは、マルコがどんな人間かが大体解った。 「そんじゃおっさん、迎えが来たから俺ら行くな!」 「ああ、ゆっくり休みな。 お前さんらと逢えてよかったよ。 また寄ってくれ。」 「うん、絶対来る。」 「ありがとな、おっさん。 飯、最高に旨かったぜ!」 マルコと隊員は一足先に店から出た。 何も頼まないくせに大人数でいるのも店の営業妨害になる。 後から店を出たエースとゆいを後ろに付けて、マルコは歩き出した。 隊員は未だにゆいに興味津々だ。 ← | → |