脱獄常習犯 | ナノ

解放されたわたし (2/6)








そしてエースの頭が皿から上がってきた。


生き返った、と声がする中、エースはポロッと口にした。



「いけねぇ…また寝てた!」



そして何事もなかったかのように食事を再開するエースに、またバーの中では笑いが込み上げた。



「はは、寝てたのかよ!」



「驚いたぜ!」



「食いながら寝る奴、初めて見たぜ!」



「昔からの癖なんだ、癖!」



ニッと笑ったエース。
やっぱり普通の人じゃない、とゆいは思った。



よく食べるエースに、マスターも嬉しそうだ。

たまに寝るが、その度に笑いがおきた。





そんな中、バーに大人数の男達が入ってくる。


ゆいは眉を額に寄せて、男達を見た。

彼等はきっと海賊だ。



平和だった空気が一辺に冷たくなった。


隣のエースは寝ている様だ。
エースの頭に布を掛ける。


ゆいも布を被り、もしもの場合に備える。


海賊は何かを探している様で、店の中を見渡す。


だが大量に積まれた皿が目に留まり、こちらへ近づいて来る。



やばい、
息を呑むゆいに、エースは目覚める。



「んあ、また寝てた…」



そう呟き、フォークをまた皿に乗せようとしたエースの手は止まった。



先程と空気が違う。



バッと後ろを振り向けば、ゆいが立っていた。

そしてその後ろには…






「…エース、なのかぃ?」





小さなゆいを挟んで、バナナヘアーがこちらを見ている。



エースは目を見開いた。


それ以上にバナナヘアーさんも目を丸めている。



ゆいはどうやら危険な人ではなった、とエースとバナナヘアーさんの間を退く。



「マルコ…!
久しぶりだなあ!」



「久しぶり、じゃねーよい…全く。」



仲間、らしい。

そういえば、エースは白ひげが近くにいると言っていた。



マルコと言われた人はきっと、エースを探して店を見回していたのだ、と気付く。



一気に店の空気が柔らかくなる。

なんだ、火拳のエースの仲間か…、と。





 







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