不幸がまねく、しあわせ(1/7) 先の見えない螺旋階段を上がるゆいとエース。 どうやらここはLEVEL1の牢屋らしい。 一度LEVEL4なら入ったことのあるゆいにとって、見覚えがあった。 道も大体覚えているため、エースより半歩前を歩くゆい。 「知ってんのか、ここ?」 「うん。 まあ前回脱獄した所だからね。」 「あー、そういやあインペルダウンまでも脱獄って記事だったな。」 「3ヶ月も前なのに、よく覚えてるね。」 「そりゃ新聞の一面だったし、俺もゆいの脱獄、すげー楽しみにしてんたんだぜ?」 ふとエースを見れば、幼い笑みを浮かべていた。 火拳のエースは意外と人間っぽいんだなぁ、なんてゆいは思った。 「もう捕まらないよ、疲れるし。LEVEL6以上はないし、次はきっと捕まったらすぐ処刑されるよ。」 「はは、そりゃ困るな。 命の恩人だし、そん時は助けにでも行ってやるよ。」 「すんごい人事だね、」 苦笑するゆい。 15回目の脱獄は、あの海賊王のロジャーの息子を逃がしたから、歴史的に自分の名前も残ったりして、など考える。 だが普通に喋っていて、エースがあのロジャーの息子だなんて想像もできない。 ロジャーは一体どんな人だったのだろうか。 しばらく黙って歩いていたゆいの足が止まる。 それに、エースの足も止まる。 目の前には螺旋階段の終わりである鉄の扉。 この先にはきっと兵が待っているだろう。 目を合わせ、小声でエースは言った。 「俺から離れるな。」 きゅっとエースの腕によって寄せられた肩。 一瞬、ドキッとなる。 それを知らないエースの顔は至って真面目で、豪快に扉をバンッと開いた。 正面突破する奴があるか…! 開くと同時にエースは走り出す。 「炎戒 火柱」 視界が真っ赤になる。 一面が炎に覆われる中、海兵は叫ぶ。 ← | → |