喉元に歯を立てるな(2/5) 「お、*****。 遅かったな？」 ドアを開ければ、すぐそばにエースが立っていた。 髪をわさわさと拭いていて、頭にタオルをのせたまま部屋の中の方まで入っていく。 *****もぎゅっと唇を噛み締め、エースの背中を追うように部屋へと入っていく。 自分の問いに何も答えない*****に違和感を感じ、ふと後ろを振り向いてみるエース。 すると、真剣な瞳の*****がこちらを見ていた。 何があったのか…聞く前に*****の体が動いた。 振り返りざまに*****は力強くエースをベッドの方へと押した。 エースに及ぶ力を持っている訳ではないが、抵抗をしないエースは軽くベッドに倒れた。 驚いた表情を顔に浮かべるエースの上に跨がる*****。 そして両手でエースの頬を挟み、顔を近づける。 「*****…？」 「エース、」 普段とは違う…まあ所謂ベッドインした時の*****の声がエースの名前を読んだ。 まだ唇も合わさってないのに、どうしようもなく躯が熱く感じてくる。 こんなに強引なエースへのキスは初めてで、ただでさえ自分からあまりキスをしない*****のキスは少し落ち着いていないことがわかる。 それでも自分から精一杯エースの舌に自分の舌を絡めていく。 「ふぅ……んんっ…ぅ…///」 いつもは絡められる方で、上手なエースとのキスは気持ち良くて。 いつものエースをイメージするけど、なかなか上手くいかない。 くちゃっと唾液の混ざる音にさえいつもより敏感に反応してしまう。 抵抗をしなければ、自分から絡めてもこないエース。 今日はこういうプレイなの、言いたい言葉が伝わってるみたいだ。 唇を離せば、攻めていたはずの自分の方が息が上がっていて、攻められる側にもかかわらずエースは余裕そうで。 なんか悔しい。 *****はエースの首元に鼻をあてながら、徐々にその位置を下げていく。 「今日はやけに積極的だな？」 ククッと笑うエース。 そんな何気ない一言でも、すごく色気のある声で言ってる所が抜目ないな、と思う。 お好きにどうぞ？、そんなことを言い表しているみたいに大人しいエースの躯。 遠慮なく*****はエースのハーフパンツに手をかけた。 ジッパーを下に下げれば、下着を脱がさなくてもエースのものが勃っているのくらいわかった。 まだ何も見えていないのに、どうしようもないくらい動揺している自分がいる。 軽く下着の上から撫でれば、ピクッと動いたような気がした。 「っ、//」 「なんだ、奉仕してくれんじゃねぇのか？」 急かすように笑うエースの声。 *****は慣れない手つきで下着をずらし、エースのものを手に取る。 触り慣れないそれを、優しく撫でてやる。 それだけで、余裕だったはずのエースの顔が少し歪んだ。 ← | → |