喉元に歯を立てるな(1/5) 一日の仕事が終わり、*****は医務室へ最後の洗濯物を置きに来た。 ガチャッとドアを開けば、自分と同じく最後の仕事を終えたばかりの先輩ナース達が雑談を楽しんでいた。 医務室にいい香りが広がっているのは、きっと先輩達の紅茶の匂いなんだ。 自然と気分がよくなってくる。 その先輩達が盛り上がっている会話を少しだけ聞いてみれば、やっぱり大人な単語が並べられていたり。 本当に先輩方はそういう話がお好きで…。 ナース達の横を通り過ぎ、その先にあるカゴに綺麗になったタオルを置く。 ふぅ、と一息吐けば、今日の仕事が終わったことに達成感を感じた。 あとは部屋に戻るだけ。 *****はチラッとナース達の方を見た。 もしかしたら…きっと……たぶん、 「あら*****、お疲れ様。」 ほら、来たよ…! "先輩、お疲れ様です。" 極力その一言だけで部屋を出て行きたかった*****だが、それを許そうとはしない先輩達の視線。 これは何かがある。そう言い切れる自信がある。 「お、お疲れ様です……」 「ところで*****、」 ニヤーッと笑う先輩達に息を呑んだ。美人が妖しく笑うと、かなり怖い。 トントン、といつもの自分の席を叩かれれば、それはそこに"座れ。"と言うサインと受け取れた。 *****が渋々座れば、頬杖をつきながら楽しそうにこちらに視線がいく。 「最近エース隊長とどう?」 「どう、て言われましても…」 「そうよね、毎日いろいろ手の込んだ鳴かされ方されてるみたいだものね。」 「昨日は普通に1回と騎乗位で3回…だったかしら?」 「わわっ、な、な、何で知ってるんですか!!!///」 「エース隊長に決まってるでしょ?」 もういい加減にこのパターンの会話も読めるんじゃないの?と笑うナース。 そういえば、こんな会話を何回もしたことがあるような…。 そう、この会話をした後にエースを責め立てれば、攻め立てられることになったりしたなあ。 もう…とにかく恥ずかしい。 「そんな*****に、これ見て欲しいのよ。」 スーッと差し出されたのは、とあるページが開かれたた雑誌。 ぱっと見て、あまり見てはいけないページであることが十分わかる。 んっと言葉を詰まらせ、少し赤くなる*****を笑うナース達。 そして、人差し指で見てほしい場所を指差した。 「ここ、読んで。」 綺麗な人差し指が指した先には"お悩み相談コーナー"と言う文字があった。 そこのとある悩み事を読んだ*****は、すっかり先輩達に嵌められてしまったのであった。 ← | → |