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素敵な場所へと手を引いて?(2/3)










「んで、結局こうかよ。」



砂浜で三角座りの自分とその恋人。

バシャバシャと海に入っていく隊員をぼーっと眺めていれば、自然と苛立ちが積もっていく。


デートしたかったんですけどー、*****とレストラン行きたかったんですけどー、腹減ったんですけどー、
くそ、サッチのやつ覚えとけよ。



「なあ、*****……あれ?」



このままどこかへ行ってしまおう、そう思い隣にいるはずの*****へと声をかけた。

だがそこにはさっきまでの姿はなくて。



慌ててビーチの端から端まで見渡す。


だがそれらしき姿はどこにもなく。



「*****?」



うちのクルーが殆どを占めているビーチに普通の客、ましてどこぞの小汚い海賊か解らない野郎までうろついてるっていうのに。


パーカーを羽織っていたとはいい、あんなに魅力的な水着の美女はいねェ。



知らない野郎にのこのこと付いて行かすような教育はしてねぇけど、



「*****〜?」



「エース!!」



立ち上がったと同時に右腕を引かれ、そのまま引かれた方へとバランスをとるために反射的に足が動く。


自分の右腕を引いた姿とその声に一先ずきょどっていた頭は落ち着いた。



そういえばこんなこと、さっきもあった気がしなくもない。


彼女は走っているつもりだろうが、歩幅の関係で早歩き程度の速さでビーチを横切っていく。

どこへいくつもりなのだろうか、そんな問いを投げかけることなく彼女に黙って引かれる。



チラッと見える、すごく楽しそうに自分の手を引く*****が可愛くて、それどころじゃねぇくらい必死に*****の横顔を目でおう。













「ほら、ここまで来たら2人きりだよ!」



「…お前、」



「エース、前は船番だったもんね。」



朝からずっと自分がなにを考えていたのか、*****は知ってやがったのかよ。

少しだけ遠くに来てしまったものの、人気の少なくなったビーチを走ることなくゆっくりと歩いていく。


あー、なんか…悔しいな。

本当は俺がここまで引っ張ってやりたかったのに。



「こんなに離れるなら、いっそのこと街まで行けばよかったな?」



「Σわあ…!!確かに!!」



「そういうとこは しっかり抜けてるのな、」



「う…うるさい〜、」



さっき手首を掴まえていた*****の手は、しっかり指を絡めていて。

ぎゅっと力が入る細い指を握り返してやる。


その感覚に気をとられた*****は、握り返してきたことに思わず頬を緩める。



「なあ、*****…?」



「んー?」



「俺は*****となら奈落の底だってデートしてぇって思うからよ。」



「え、…や、やな例えだね、
もっといい所つれて行ってよ。」



「お前なぁ……」



それくらい*****とデートすることに意味を感じてて、どこにでも*****とだったら行けるって思ってるのに。







 








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