計画的なサプライズ(5/7) 「よし、まあ何とかなるよな。」 「おう!そうと決まれば生徒副会長エースくん!」 嬉しそうに肩をたたくサッチ。 何か企みがある様だ。 こいつ、これが狙いだったのか。一瞬、いい親友だと思った自分の心を返してほしい。 「なんだよ…」 「明日の生徒会は2人で頑張れよ。生徒会の全員に声掛けといてやるからよ!」 「サボりたいだけだろ!」 「手助けだよい。」 「いや、明らかに詐欺だろっ」 「エース、頑張れよ!」 「お、おう…って、逃げんじゃねぇよ!」 勝手に決まってしまった明日の生徒会の計画。 1人参加する自分の身にもなってほしいものだ。 絶対に誰も来ないことで、ゆいの機嫌は悪くなる。 まあ、2人でいられるチャンスだよな? 「何で誰も来ないんだ…」 見事に予想は的中した。 サッチとマルコの気遣いと言う名のサボりは、ゆいの機嫌を悪くさせた。 生徒会室で、ただ隣り合って座るエースとゆい。 コンコンと机をペンで何度もつつく。 「あいつらサボりだろ。」 「こんなに計画的なサボりがあるか!」 今日、打ち合わせるはずだった書類をまとめるゆい。 その表情は少しだけ残念そうな顔をしていた。 既に書ける範囲はゆいの綺麗な字で欄が埋まっている。 昨日までに頑張って考えたことが伝わってきた。 「…帰るのか?」 手元の書類にあった視線が、チラッとエースの方を向いた。 誰も来ないなら時間の無駄だ、と考えるゆい。 まさか自分で作った…と言うより、計画的に作らされたゆいとの時間を無駄にするはずがない。 エースはゆいの手元にある書類に手を伸ばし、笑って言った。 「これ、〆切りあるんだろ? なら適当に仕上げようぜ。」 「え…」 「頑張ったんだろ?」 エースは書類をぺらぺらとめくり、適当に自分が書けそうな紙を取ってペンを握る。 そんなエースの行動に、ゆいは目を細めて嬉しそうに頷いた。 「ああ。」 ← | → |