計画的なサプライズ(4/7) 「セックス以前に、キスもまだだっつーの。」 固まるマルコとサッチ。 空気がガラッと変わり、遠い世界へと逝ってしまった2人をつんつんと突くエース。 全く戻って来ない。 「確かに俺自身もビックリだぜ?1ヶ月経とうとしてるのに、手出してない女なんて今までなかった!寧ろ1ヶ月経たずにヤって終わったって事もあった!」 ああ、ゆいはなんてガードの固い女なんだ… それで今まで堪えてきたつもりだ。 固まったままのサッチとマルコが還ってきた。 「嘘だろい…!」 「いや、マジで。」 「さすが我が校の最強生徒会長だ…、男の痛ぶり方もハンパないな。」 「全くだ。 …って、誤解を招く言い方だな。」 エースは黙々と今までのことを話し出す。 ゆいは確かに2人でいれば、抱きしめたってそれ程怒らない。 だが、その2人でいる時間っていうものがそもそも少ない。 まあ教室では常に一緒にいるが、人前だ…って照れて机を投げて来たり…。 まあそこは、飛んで来る机の数だけ愛されていると思おう。 下校する時も、人前だ…って言う。 デートに行ったって、手を繋ぐのが精一杯な感じで。 「まあ相手は、あのゆいだしな。」 「そうだよい。 志望校が一緒なら、あんまり焦らなくたって時間はあるよい。」 「まあエースの欲求が焦らなかったらの話だけどな。」 それには、まあ自信がない。 女には苦労しなかった自分に、今は鞭を打ったような生活を送っている。 他の女を抱きたいとかは思わないし、目の前のゆいが欲しくてたまらない。 だがここまで惚れ込んでしまえば、ゆいを傷付けたくないと思ってしって何もできない。 「案外、ゆいだってエースのこと待ってるのかもしれないよい。」 「…、そう思っていいと思うか?」 「まあゆいは拳は強いけど、意外とメンタル弱そうだしな。」 「…だよなあ、そこが問題!」 誰も見たことのない、弱いゆいを知っているからこその悩みだ。 フラれたら立ち直れる気がしない。それ程大事だ。 「まあ行動あるのみだと思うよい。」 「そうだぜ、男はみんな狼だ!」 ニッとわらうサッチ。 マルコも頷く。 全く、いい奴らだ。 ← | → |