計画的なサプライズ(3/7) 「可愛い奴だな〜っ!」 「は、離せッ!///」 くしゃくしゃと撫でるゆいの髪はボサボサになっていく。 エースとゆいの声は大きく、クラス全員が2人を見ている。 エースから離れようと足掻くゆいだが、エースの力からは逃げられない。 女の中では力はずば抜けて強い方なのに、びくともしないエースは男の中でも力は強い方なのだと思う。 エースの腕が離れれば、ゆいは周りの視線に気づく。 赤くなった頬が、更に赤みを増す。 「〜〜〜っ!///」 「はは、顔真っ赤だなあ!」 ゆいは自分の机を持ち上げ、エースに投げつけた。 新しい技に、ゆいをここまで怒らせたエースに喝采するクラスメイト。 エースは飛んできた机を間一髪掴んで、床に下ろす。 まさか机が飛んで来るとは予想もしなかったエースは、ゆいの大胆さに苦笑した。 「くたばれエースッ!///」 「次はなんだっ!?」 椅子やら黒板消しやら、次々とエースの元へ飛んで来る。 さすがに飛んできた物全てを受け止めている暇はないので、エースは物を上手に交わしながら廊下へ出た。 それを追い掛けるゆい。 教室の中は悲惨な状態になっている。すぐ横にいたマルコとサッチが仕方なく片付けはじめたことを、エースとゆいは知らない。 そんな日常が、当たり前になっていた。 「で、エース…実際どうなんだよ、そこんところ。」 ゆいから今日も逃げているエースに出くわしたサッチとマルコ。 主語のないサッチの問いに、額に眉を集めるエース。 「なにがだよ。」 走って逃げて来たのは屋上。 はあ、と一息吐きながら地べたに座る3人。 「ゆいのことに決まってるだろ。どこまで進んだんだ?」 「いや、それが…」 おもいっきり苦笑するエース。 その反応に目を丸めた2人が目の前にいた。 「…まさか、あのエースがセックスしてないとはな。」 「意外だよい。」 お前ら、転入生の俺のこと何も知らないくせに、意外とかないだろ…と心の中で思うエース。 だが、問題はそこからではなかった。 ← | → |