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逆さまメリーゴーランド(2/3)








今日の昼休みは普通だったのに。

もっと言うなら、7限目のメールも全く普通だったのに。



力が入りっぱなしの肩が疲れてくる。


もうこれ以上は聞きたくない会話も、足しが固まって動かない自分には聞こえてしまう。



「俺達のことを、誰も何も否定しない…………えっと、何だったっけ?」



クスクスッと笑い声が聞こえる。


エースが笑いながら後頭部を掻いている姿に、唖然となる。



…あれ?
どういうこと?


何だったっけ、って何が?



一人、廊下で口をポカッと開ける*****。

そんな*****に後ろから声がした。



「今見ちまったら当日つまんないぜ?」



「…あ、サッチ先輩!」



何やらいっぱいパンの袋を抱えているリーゼントの先輩。

彼はエース先輩と同じクラスで、エース先輩の仲のいい友達だ。



…未だに状況が読めない*****は、再び教室の中へと視線を戻す。



「あー、そうそう、そんな台詞だったな。」



ピンク色の冊子を眺めて、納得できて満足そうな顔をするエース先輩。



…どうやらこれは、学園祭での出し物だったらしい。


なぜか凄くホッとして力が抜けていく。



「はは、何考えてたか分かっちゃったぞ*****ちゃん。」



「わわッ…///
や、そ、そ、そんな、まさか〜ッ!!///」



「嘘下手だな、」



「ギクッ……」



「効果音を口で言う子、初めてみたぜ。」



可笑しそうに笑うサッチ先輩。


こっちは恥ずかしいったらありゃしないのに。



抱えたパンを持ちながら慎重に教室のドアを開けるサッチ。

ドアを開けると共に会話が聞こえてきた。



「エース君が台詞忘れるなんて、珍しいね。」



「あー、急に頭真っ白になったんだ。」



チラッとこちらを見てくるエース。


自分には気付いてないと思っていたが、どうやらエース先輩は気付いていたらしく。

ニヤッとしながら言葉を続ける。



「あそこの窓から俺への熱い視線を感じてよ。」



エースが自分へと視線をやれば、その周りにいる生徒たちもこっちを見る。


わあ、恥ずかし。

ここが先輩のクラスってことが、なおさら恥ずかしい。



思いっきりエース先輩から視線を外し、サッチ先輩の方へと駆け寄った。

エース達の笑い声が聞こえたが、そっちを向けるほど自分は強くなくて。



これまた知り合いのマルコ先輩と喋っているサッチ先輩の輪に入る。



「エース待ちかい?」



「ん〜……そうなんでしょうかね?」



「お前に聞いてるのに、何だよい、その曖昧な返事は。」



「…サッチ先輩、パンください。」



「あ?
いいけど、これエースのだぜ?」



「……やっぱりいいですっ」



完全に拗ねている。

顔を見合わせて笑うサッチとマルコに、*****は言葉が出ない。






 








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