砂に埋もれるふたりの足跡(4/4) そんな不安を抱いたゆいに気づいたのか、ふわっと身体が宙に浮いた。 「おら、力が抜けきる前に砂浜に帰るぞ?」 「…やっぱり力、抜けるんだ?」 「まあな、でも俺は髪も白いワンピースも全部濡れて、ピンクの下着が透けて見えるゆいの姿の方が堪えらんねぇからよ?」 「うぅ……な、な、なんで下着の色知ってるのッ!//」 「男のロマンを語ったって、どーせ理解しねぇくせに。」 「何がロマンよ、ただの変態じゃん。」 横抱きにされ、やっと砂浜まで戻って来ようとしたエースの足がピタッと止まる。 あれ、とゆいはエースを見上げた。 無表情な顔が見え、一瞬だけドキッとなった。 何かまずいことを言ったのだろうか。 だが、エースの口の端が怪しげに持ち上がる。 「……エースくーん?」 「へー、そうか。 なら変態な俺に変態って認められたら、そいつは変態の中の変態だよな?」 「わわ、……何言ってるのか、わからないなあ…ッ」 「今晩は外でスるか。」 「え………っ」 「誰かに聞かれていつもより感じるってことは、つまり…「いい、遠慮しときます!//」 「決定な、…甲板は涼しいんじゃね?」 「部屋〜っ!」 「マルコの部屋の前がいいか? …しゃーねぇな。」 「言ってないし!」 後で殴られるのはエースなわけだし、大丈夫…って、全然大丈夫じゃない! 頭の中が忙しないゆいをしっかり抱き、水辺から上がる。 行きは2人分の足跡、帰りは1人分の足跡が砂浜に残される。 その足跡も、まるで証拠を隠滅するかの様に波が打ち消してしまった。 end ← | → |