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砂に埋もれるふたりの足跡(1/4)








夏の終わりを示す少しだけ冷たい風。



昨日、とある島に上陸した白ひげ海賊団は明日までログが溜まるのを待っていた。


ある者は酒場へ、そしてある者は宿へ…。



日が沈みかけて辺りが橙色に照らされはじめた頃、白ひげのマークを大胆に背中へと刻む男の影が海辺にあった。

その横には白いワンピースを着た小さな女の姿。


靴を利き手で持ち、裸足の足跡を砂浜へと付けていく。



こんなにベタなシチュエーションが他にあるであろうか。
だが当の本人たちになれば、この状況は映画や絵画なんかではなく立派な現実の中で生きていることを感じる。



「なんか笑えてくるね。」



「ああ?」



隣でクスクスといきなり笑いはじめたゆいは、前へと進める足を止める。


それにエースも足を止めた。



「だって 見て、エースの影とわたしの影が同じくらいなんだよ?」



砂浜から伸びる影を指差すゆい。


そこには夕日に近い方に立っているエースと、夕日から奥側に立っているゆいとの二つの影が並んでいる。

夕日が沈みかけている今の時間帯の影は自分の足元からかなり大胆に伸びており、大きく差のある2人の身長を均していた。



そんな些細なことに笑顔になるゆいを横目で見れば、釣られて笑顔になってしまう。


その笑顔は何かの能力か?と問いたくなる。



「、これでどうだ?」



エースは一歩だけ夕日から遠ざかる位置へと移動する。

それは夕日から測ればゆいと同じ距離。


すると影はエースが動くにつれて、均されていた頭の位置を大きく変える。



「あ…、もう!」



今度は一歩、ゆいが夕日から遠ざかる。

エースの頭と同じ位置に影を戻した。



「足の位置揃えてねぇんだったら、同じ大きさじゃねぇだろ?」



そう言い、ゆいの足と同じ位置に足を揃える。



身体の大きなエースと足を揃えて影の大きさを合わせることなんてできないことくらい、ゆいでも分かるのに。


意地悪なエースについムッとくる。



砂浜には、今まで真っすぐに歩いてきた足跡が直角に曲がって付けられる。



「ゆいに合わせたら、…………これくらいか?」



ゆいの身長に合わせるように膝を曲げる。


身長の差は笑えない程にあるから、エースの今の体勢が保ち難いことは見ればはっきりするが。


伊達に白ひげの2番隊の隊長様ではないみたいで。



コンプレックスの身長を弄るかのように隣を見てニヤッとしている。





 








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