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最後にお前が笑えばいい(3/4)








「はは、これゆいに似てるな?」



入った途端、エースは目についたマスクを被りはじめた。


それも可愛くない厳つい鬼のマスクを。



「…失敬な奴だな、」



と冷たく言ってやる。


…が、少し可笑しいと思ってしまい、笑ってしまう。

こんなもの被って、こいつは馬鹿か。



どうやら入ってきたのは雑貨屋らしく、変わった趣味のものが色々と並んでいる。


見た目だけでは用途のわからないものがいっぱいある。



「ゆい、これやるよ!」



エースの手元から飛んできた小さな箱。


いきなり飛んできた店の商品を少し焦りながら受け取るゆい。

これで落としたら笑い事ではない。そう思いながらも、渡されたその箱に興味を抱いたゆいはどこから開ければいいのかを探す。



金属の蓋を止めてあるところをガチャッと開ける。



この重さ的に、オルゴールか何かなのだろう。

そう考えていたゆいは甘かった。



びよーん!!!



「Σ……っ!」



いきなり箱から伸びてきた不細工な人形。


ゆいの身体がビクッとなる。



目を見開いたゆいは、声にならないほど驚いているようで。

こんなに上手にリアクションをとってくれると思っていなかったエースの笑い声が響く。



所謂、びっくり箱だったらしい。


少しの間、硬直していたゆい。

だが少し経てば、エースの方を見て何とも言えない表情をする。


怒っている…のか、恥ずかしいのか。

まんまと騙されたゆいはエースの胸へと開いたままのびっくり箱を突き付けてやる。



「ははっ、お前やっぱ飽きねぇよ。」



「く、くだらん…!//」



「照れんなって。
可愛いなあ。」



「照れてない!//
誰がびっくり箱なんかで…っ」



ムスッとしたゆいは手元にある愉快な本へと視線を下げた。


まだびっくり箱で跳ねた心臓が落ち着いてないみたいだ。


エースは笑いながらびっくり箱をもとの形に戻している。

それをチラッと見たゆいは、エースから離れるように店の奥へと入っていく。





興味深いものに囲まれながらも、エースが見えなくなるまでは立ち止まらずに歩いた。







 







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