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最後にお前が笑えばいい(2/4)








おじさんにサンキューと軽く礼を言ったエースは、とりあえず歩きはじめる。

もちろん、タコ焼きをこちらへと運んだまま。



「ゆい〜?」



「な、なんだ…っ」



「あーん、」



「…わ、わかった。
食べればいいのだろ?」



これじゃ余計に目立って仕方がない。

嬉しそうなエースの顔を睨めば、目の前のタコ焼きへと視線戻す。



少しずつ口を開ければ、タコ焼きの方から口の中へと入ってきてくれる。


見た目上 熱そうだったタコ焼きは、エースとの色々なやり取りで食べやすい熱さへと変わっていた。



それより周りの目を気にしていれば、次はエースの指がこちらへとやってきた。



「ついてんぞ、」



エースの親指が自分の口元へとやってきて、口の端にそっと触れた。

どうやらタコ焼きのソースがついてしまっていたらしく、エースの指が離れた口元をサッと隠す。


目を細めたエースは親指を口へと持っていき、ペロリと嘗める。

その行動に思わず身体が熱くなった気がした。



「い、言ってくれれば自分でやるッ///」



「まーそう言うなよ。
お前がとったら意味ねぇだろ?」



「何の意味だ…!//」



意味がわからないエースから顔を反らす。

やけに熱い自分の顔を隠すように。



ポンポンと口の中にタコ焼きを入れていくエース。
その手元には結構な量のタコ焼きを詰めていた入れ物が空になっていた。


…確か、弟もこんな感じだと言っていた気がする。

どんな家庭で育ったのか…少しだけ笑えてくる。



「ゆい、次あれ見にいこうぜ!」



少し遠くに見えたごみ箱へと、エースはタコ焼きの容器を投げる。


昨日も確かこいつは、メロンパンの袋をごみ箱から2番目に遠い席から投げてやがった。


ゴミは投げるな、とは言ったものの、ごみ箱へと見事に入ってしまえば拾いに行かすこともできずに。



ガサッとごみ箱へと入るゴミ。

調子に乗ったエースはニッとこちらに笑みを向けてくる。


それに睨み返してやった。

昨日の今日だ、と。



何も言わなければエースの手が再び重なり、さっきと同様に引っ張られていく。

まるで大きな犬を飼っているみたいだ。


エースが引っ越してきた方なのに、自分よりもここの店などのことを知っている。


モール街で自分が買い物をすると言ったら、大きな本屋で参考書を買うぐらいで。


服とかはあまり興味がない為か、殆どがパッと目に留まった店を選ぶことが多い。

そのためエースとのデートで初めて知る店が殆どだったり。


ほら、今エースが自分を連れて入った店だって、初めて入った。





 








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