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最後にお前が笑えばいい(1/4)








ここらでは頭のいいという噂が立つ学校、その制服を着た美男美女がモール街を歩く。


それは端から見ればお似合い過ぎる理想のカップル。

すれ違い様に振り返りたくなる程だ。



しかし、同じ制服を着た生徒は決してそうは思わなかったり。


それは2人の性格を…彼女の性格を知った上で、そう言っている者が多い。



「ゆい、何か食わねぇか?」



本来ではこの時間帯に学生がいるなど非常に珍しい。

少しお昼が過ぎたくらいの時間。


…と言うのも2人の学校は今日までが試験日なので、昼からは授業がないのだ。

その時間を利用して、デートとやらを楽しんでいるのだが。



声をかけたエースの方へとゆいは視線を向けた。


お決まりの鋭い視線を。



「さっき食べたばかりだろ。」



「あ、ほら、あそこのタコ焼き美味いんだぜ?」



「こ、こら…!
引っ張るな!!」



しっかり絡められた指を離すわけにもいかず、ただエースの行きたい場所へと引っ張られるゆい。



この絵はきっと普通とは違うのだろう。

薄々気付いていたゆいだが、今はどうしようもないエースの空腹に付き合うことにした。



さっきこいつはパスタを5皿食べたはずなのに。ついでに言えばサラダとスープも。


そいつが今、タコ焼き屋のおじさんに1コおまけして貰って笑っている。

尋常じゃないエースの胃に、今さら驚きなんてしないけど。



タコ焼きを食べるために離された手に、少しだけ寂しさを感じる。


それを顔に出したつもりはないが、エースは一瞬こちらを見てニッと笑った。

そして、つまようじで刺した一口目をこちらへと運んでくる。



「ほらゆい、あーん。」



「!」



口元まで運ばれたタコ焼きに戸惑ってしまう。


こういうのは流れで口を開けるのが普通なのだろうが……



け、け、けれど!!!


そんな体験を女同士でもしたことがない自分には流れを止めることしかできない。


ここは外であって、そんな行動を素直に受け入れられるには羞恥心が邪魔をする。



手を繋ぐのですら最近慣れてきたのに。

いつまで経っても開かないゆいの口に、エースは追い撃ちをかける。



「あーん。」



「ぇ……、」



「……あーん!」



「ん………っ」



「"あー"する前に"ん"してどうすんだよっ」



ははっと笑うエース。

こっちは結構 真剣だったりするのに。


タコ焼き屋のおじさんにまで笑われてる!

仲いいね、とか言いながら、もう一つエースの手にある入れ物にタコ焼きを入れるおじさん。


恥ずかしいったらありゃしない。

しかも、決して仲がいい光景ではない筈だ。




 









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