つまりまぼろしを見ていたのだ(4/4) 「もしもーし? どうもはじめまして、俺の名前はポートガス・D・エース。 ちなみに俺の恋人の名前はキャサリンじゃなくてゆいだ、よく下調べしてから出直すんだな。」 ガチャッ。 会話を切ったエース。 そして電伝虫をポケットにしまう。 「ただいま、ゆい。」 「あ、おかえりエース。」 何事もなかったかのように2人の会話が成り立った。 …と、まあそこまではよかった。 エースはゆいの手を掴まえて、急にベッドに押し倒した。 ゆいはわけの分からないままエースの顔を見上げる。 何か悪いことをした時、エースは大抵ムスッとした顔をしてこうする。 でも理由は分からない。 「なあ、キャサリンちゃんよお?」 「…は、はい。」 「あれ、俺だと思い込んでたろ?」 「えっ!?…あ、いや……そんなわけ……」 顔を背けようとするゆいだが、そうはさせないエース。 それでも動こうとするゆいに、唇を押し付けてやる。 舌を絡ませ、ゆいの息がもたなくなってへばればこちらのものだ。 予想通り、ゆいの苦しそうな顔がすぐに見えた。 離すのは少し惜しい気がするけど、エースはゆいから唇を離す。 「こんなに一緒にいても、お前は俺のこと見分けられねぇか?」 すーっと頬に人差し指でラインを引かれる。 触り心地のいい頬は、ゆいの口が開けば動いた。 「見分けられるもん。」 「お前、説得力ねぇぞ?」 「見分けられるもん……触れられたら、エースじゃないことぐらい分かるもん。」 不安げに小さく訴えるゆい。 そんなゆいの表情を見れば、エースは優しい笑みを作る。 そして、言った。 「ばーか、触れられてからじゃ遅ェんだよ。」 end ← | → |