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つまりまぼろしを見ていたのだ(3/4)








「おいエース、大丈夫かー?」



「あー、大変なんだ。
助けてくれ。」



「あー、キャサリンから事情は聞いたぜ。」



キャ、キャサリン…!

それは所謂、自分のことなのだろう。


キャサリンに引っ掛かったままのゆいは眉を歪めながら会話を聞く。



「エース、お前ってそんな声だったっけ?もっとダンディーでハスキーだった気が…」



チラッとエースがゆいを見れば、ぶんぶんと首を横に振っている姿が見える。


そんなゆいの額を中指で弾く。



「あ、ああ、今風邪ひいててなあ…」



さっきより頑張ってダンディーな声を出している電伝虫の見知らぬ相手。


それにエースと顔を見合わせて、声を殺して笑う。



「おっ、エースの声だ。
そっかあ、海賊に捕まっちまうなんて運が悪ぃなあ。」



「だろ〜、本当に海賊はおっかねぇよ。」



「だろーな?
でも安心しろ、俺らがちゃんと身代金持ってお前を助けてやるよ。」



「え、マジか!
やっぱりお前らはいい仲間だなあ〜!」



「お前、そりゃ白ひげ海賊団の仲間を捕まえた奴なんて、例え海軍だろーと死の海だぜ?なあ2番隊の隊長、火拳のエースさんよお?」



「え……。」



電伝虫の顔が固まる。



ゆいはその表情に耐え切れなくなり、枕を自分の顔に押し当てて笑う。


電伝虫から汗が滲み出てくる。

焦ってるな。



「あっそうだ、親父に代わろうかエース?」



「お、親父……い、い、いや、いい!それよりあれだ、キャサリンに代わってくれ!」



「キャサリンか?
いいぜ。おい、キャサリン?」



キャサリン、と話をエースに振られる。


キャサリンになりきれる自信がないため、できれば電話の主と話したくはないのだが。


ゆいはエースから渡される電伝虫を受け取る。


そして、電伝虫が喋る声を聞く。



「なあキャサリン、お前だけで来てくれって海賊達が……」



「え、キャ、キャサリンだけで……?」



「ああ、頼むよ。」



困った表情で隣のエースを見つめるゆい。


エースは笑って頷き、電伝虫を返してもらう。






 








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