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つまりまぼろしを見ていたのだ(2/4)








それどころではない。

エースがタチの悪い海軍…じゃなくて、海賊に捕まったと!


こんなに珍しいことはない。



電伝虫はゆいの天然に気付いたのか、勝手に理解しているゆいへと話を進める。



「でよ、身代金を要求されてんだ…」



「え…い、いくら?」



「1億ベリーだ。」



「や、安いね…!!」



「や、安い!?」



普通に海軍へと引き渡せば、もっとお金が手に入るのに。


エースの懸賞金は1億ベリーなんかで納まる額なんかではない。


きっとエースを捕まえるのにかなり手が掛かっただろう。

それなのに1億ベリーだけで済まそうだなんて、心の広い海賊だ。



ゆいは電伝虫の相手がどれだけ焦っているのか知らない。


庶民に電話をかけたと思っている詐欺師の焦り様を。



「で、エース、今どこにいるの?」



「俺か?
俺は今、偉大なる航路の…「お前の後ろにいたりするんだよな?」



今の声は電伝虫ではない。


その声がハモって島を聞き逃した。


聞き覚えがある声だけど、今かなり真剣に聞いていたゆいは邪魔をした後ろの人物へと視線をやる。




…視線をやれば。



「あれ……?」



「よぉ、珍しいもん持ってるな?」



今喋っているはずのエースの姿。


数秒間だけポカンと口を開けたまま思考が止まる。


だって今、エースは海賊に…




ゆいは次に電伝虫を見つめる。

応答がないので不思議な顔をしている電伝虫。


再びエースへと視線を戻せば、ハッとした顔でゆいは叫ぼうとする。



「エーsむむッ」



いきなり口を押さえられ、言葉を遮られる。



黙ってろよ?とエースはニヤッと笑ってゆいの手の平から電伝虫をとる。

そしてわざとらしい声で言う。



「えー、嘘だろー、エースがあ?
そんなわけねぇだろ、キャサリン?あのエースが海賊に?
エースと連絡させてくれー。」



素晴らしいまでの棒読み。

これは相手の電伝虫に届いてないわけがなく。



少しニヤッとなった電伝虫の顔を見たエースは、電伝虫へと話し掛ける。





 








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