いつかの星屑ターミナル(3/3) 「シャンクスが流れ星って言葉を教えてくれてから、星を数えてる時にたまに見る流れ星が楽しくなってきたの。」 心から嬉しそうなゆいの表情。 その表情を浮かべる為の出来事は、今となっては馬鹿馬鹿しいことなのかもしれないけど。 さり気なく重なったエースの手が、あの時のシャンクスの手を思い出させる。 「へぇいい想い出じゃねぇか。」 「うん。 わたしも、すごく好き。」 こういう話はあまり好きじゃないはずなのに、エースは面白そうに微笑んでくれている。 つまらないかな?なんて途中で思ってしまっても、結局は最後まで喋っちゃって。 「結構ロマンチストなんだな、赤髪のおっさん。」 「あは、わたし他にもシャンクスが教えてくれたロマンチックなこと、いっぱい知ってるよ?」 「あー、こりゃ趣味が合いそうにないな。」 「だと思った。」 ロマンチックはエースにとって苦手な分野なのは知っている。 知らなかったら違和感がないが、それを知っていてエースにロマンチックな言葉を言われれば、きっと違和感で何も伝わらないのだろうな。そんな失礼な事を思ってみる。 そんな所は似ていないが、たまにエースはシャンクスに似てるなー、なんて思う。 父親に似てるから惹かれるのか…まあそんな事は思いたくないけど。 いらない事を考えていれば、自分と重なった方と反対のエースの手が、夜空を指差した。 「あ、流れ星。」 「うそっ!」 ゆいもパッと見上げるが、そこには普通に光る星しかなくて。 んー、と悔しそうにしていれば、徐々にゆいの目が見開いていく。 「わあ……っ」 心の底から出てきたかのような声を出すゆい。 思わずエースの手をきゅっと握る。 エースの指先から見えたのは、幾つもラインを作る星屑達。 「流星群、だな。」 「うん…! 初めて見たよ!」 ずっと上を向いていて、首がいつ攣ってしまうか怖いのに、それすら気にならないくらいに大量に流れる星に目を奪われる。 「あ、願い事しなきゃ!」 「そうだな。 まあしばらく終わりそうにないだろうけど。」 けど、 そう言いながらエースも願い事を唱える。 ゆいも胸の前に手を組み、静かに瞳を閉じた。 願い事は、 これからもずっと2人が…… end ← | → |