いつかの星屑ターミナル(2/3) 「あ……!」 「?」 ふと空を見れば、一瞬だけ夜空にラインが見えた。 目を真ん丸にしたゆいは綺麗な夜空を指差す。 「流れ星…!」 そう呟いたら、少し遅れてエースの顔も指先の夜空を眺める。 一秒もないくらいの早さで消える流れ星が、そこにある訳がなくて。 「何か願い事できたか?」 「…直ぐに消えちゃったから、何も、」 そう思えば勿体ない。 お願い事なら沢山あるのに、ふと見た一瞬だけでチャンスを逃してしまうなんて。 そんな考えが顔に出ていたのか、エースは笑った。 「はは、まあ そういうもんだろ?」 「…でも、せっかくお願いが叶うのに……っ」 うぅ…と唸るが、ふと小さい頃の記憶が浮かんできた。 パッと急に明るくなったゆいの顔を見たエースは不思議そうな表情をする。 ゆいが記憶をしっかり思い出せば、懐かしそうに笑った。 …それはシャンクスの船に乗っていた時の記憶で…。 「ねぇ、エース。」 「どうした?」 「昔ね、よくシャンクスと一緒にこうやって星を見てたの。」 赤髪のおっさんと? ゆいはその言葉に頷く。 そして話を続ける。 「シャンクスがわたしを眠らせる為にね、羊じゃなくて星を数えてくれてたの。」 パッと見上げた感じで、数えるのなんて不可能に近い。 今はそう思うのに、昔はシャンクスが本当に数えていると思ってた。 「えらい気長なんだな、赤髪のおっさん。」 「はは、わたしも今はそれ思う。 1つ1つ数えて、100こくらい数えたら、数えた星が流れて消えちゃうの。」 「あ、パパ…お星様があ…!」 「はは、せっかく数えてたのにな?」 「うう…っ」 「だからね、最初は流れ星なんて嫌いだったの。でもね……」 「パパ、どうしてお星様は消えちゃうの?」 「ん?ああ、流れ星のことか?」 「ながれ、ぼし?」 「ああ、そうさ。 流れ星が流れている間に3回願い事を唱えたら、その願い事が叶うんだ。」 「わあ、ほんと…?」 「本当だとも。 なら次から星を数える時、流れ星が見えたら一緒に願い事しよう?」 「うん!」 ← | → |