未来さえも塗り替えようとした(3/4) カッコイイのも、自慢の彼なのもあながち外れてはないけれど。 何だか悔しいから肯定なんてしてやらない。 「昔はそんな子じゃなかったのに。」 「はあ?」 ムッとして言ってやれば、呆れられた声が飛んできた。 これは説明不足ってやつですね。 「あのね、さっきまで夢見てたの。」 「夢?」 「小さなエースの夢。」 「…どんな夢だよ、それっ」 「う…あれだよ、小さい頃の夢。」 そう継ぎ足してやっと、ああ、と納得したような顔をするエース。 エースも甲板で座り込んで聞く気満々だ。 「ほら、エースとサボとルフィが1番すごい晩御飯捕るのを競ってたじゃん?」 「あー、よくやってたな。 ルフィが捕って来る尋常じゃねぇくらいでけぇガマガエルとかな?」 「はは、あったね! サボの釣った小さなピラニア50匹とか!」 こんくらいの、な。 手を使って大きさを表現するエース。 意外とよく覚えてるなあ、なんて思う。 やっぱりそれだけ大事な日々だっ たんだな、と嬉しくなる。 「楽しかったね、あの頃。」 「ああ、楽しかった。」 どこか遠いものを見つめているようなエースの瞳。 さっき個人的に小さいエースに会ってきたからか、エースの横顔が一段と大人びている風に見える。 「サボの奴、きっと悔しがってるだろうな。」 「ん?」 呟くように放たれたその言葉。 ゆいは首を傾げて反応する。 「俺が今兄弟で1番の賞金首で、世界一大きな懐を持った船長の船に乗ってて、」 「乗ってて…?」 「こんなに色っぽくていい女になったゆいが、俺のものだってな?」 「…っ///」 顎をくいっと持ち上げられる。 恥ずかしくて目を逸らせば、エースの親指の腹が唇をなぞる。 こんな技、どこで覚えたのか。 ずっと一緒にいたつもりなんだけどな。 一人前の男になっちゃって。 近づくエースの顔を両手で挟んでやり、言った。 「エースはさ、」 「ああ?」 「タイムマシーンとか あったらいいなぁ、とか思ったことある…「ねぇよ。」 待ち伏せていたかのように出てきた即答に思わず苦笑が出た。 こうなったエースは、きっと今のわたしの状況になったとしても「タイムマシーンはいらない。」と言い切るだろう。 ← | → |