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未来さえも塗り替えようとした(1/4)




 



暖かい陽気が木陰から差し込む春のとある日。

いつからか眠気に誘われてそのまま寝てしまっていたようだ。


起き上がれば涼しい風が頬を掠って過ぎていく。

ざわざわと木葉が揺れ、差し込む光の位置が変わっていく。


今立つ位置は丘になっていて、見渡せば小さく風車が見える。


なんだか懐かしい気がする風景に、この匂い。



あれ……?
わたしはここを知っている。

でも、どうしてここにいるのか…。


考えるより先に、後ろから声がした。



「おーい、ゆい!!」



「…ん?」



昔は聞き慣れていたこの声…。


今では声のトーンが低くなってるけど、間違えなくこの声は、



「エース?」



「ゆい、これ見ろよ!」



目の前に現れたのは、やっぱり懐かしい姿のエースで。


身長はきっと自分より断然小さいはずなのに、今エースを見上げなければ視線が合わない。

わたしも小さい頃の姿みたい。



意地悪そうな笑顔で笑うエースしか最近見てなかったから、こんなに新鮮に笑うエース
が可愛く思える。

小さい頃はこのエースの笑顔が本気で格好いいと思ってたのにな。



笑顔のエースが自分の名を呼びながら突き出した手には、へばった熊の姿があった。



「今日の晩飯。
今、ルフィとサボとで誰が1番すげー晩飯を捕れるか競ってるんだ。」



自慢げにそう言うエース。



確かに凄いとは思うよ?

もしこんな熊と遭遇したら、本来のわたしだって怖いとか思うよ?



…でも、やっぱり今は熊が哀れ。

こんな子供の遊びで捕まえられるなんて、本気で運が悪いとしか言いようがない。



「んー、ルフィはともかく、この熊でサボに勝てるか解らないよ?」



「ま、まじかよ…!
そうだな、サボのことなら有り得そうだ。
よし、もっとでっけー熊見つけに行くから、ゆいはここでこの熊の見張りしといてくれ!」



そう言えば、引きずっていた自分の熊をこちらへ置いていく。


こんなに小さいエースが、この熊よりもっと大きな熊を捕って来るって言う時点で改めて凄いと感じる。


だって今のエースはまだ悪魔の実を食べてないんだよ?

食べてないくせに、しかも10歳頃かと思われる年頃の少年にしてはたくましすぎる。



森深くへと入っていくエースの背中は、今朝見たエースと何ら変わらない風に見えた。



今は誰もが知ってる火拳のエース。

そんなエースを見ている感じがした。



エースの姿が見えなくなり、置いていった熊に腰でもかけようか。そう思っていれば、不意に視界がぼやけてきた。



「あれ…?」



何度も瞬きをするが、視界は薄れていく一方で。

目を擦り、パッと目を開いてみれば。







 








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