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拾われなかった欠片の話 (2/4)








「…エース、」



「ん、どうした?」



急に自分の背中からゆいの感覚が消える。

ゆいの方を向いてやろうと思ったけど、こちらから見えないが故に何が起こるかという期待に邪魔をされる。


結局、ゆいに背を向けたまま次の言葉を待った。



すると一カ所だけ、背中の上の方に何かが当たる感覚がする。

それを感じるや否や、後ろから腰に手が回ってきた。

ドキッとして目を見開いたエースの表情は、背中にいるゆいからは見えない。


これは、ゆいに後ろから抱きしめられてる状況……で、いいのか?



「どうした、珍しいな?」



学校でこんな行動を自分からするなんて。

どこか具合でも悪いのだろうか…っ


一人、ごちゃごちゃした頭の中を整理しているエースに、ゆいは口を開いた。



「…平和なのに、な。」



「?」



ボソッと聞こえたゆいの声を拾うエースの耳。


何を考えたのか、きゅっと腕に力をいれるゆい。

身体の接触面積が極端に増えていく。



「昨日、エースはルフィの用事で先に帰っただろ?」



「ああ、」



そう、昨日は珍しく帰りが一緒ではなかった。

同じクラスで、同じ生徒会をしていて同じく部活をしていない都合の合っている2人が。


弟であるルフィの用事が心配で、先に帰ったのだ。


それを生徒会長であるゆいも起こることはなく、早引きを認めていた。
だから怒られることはない、とまず思った。


なら他の出来事になるのか。

力が入り、震えるゆいの手を自分の手で覆う。



「だから帰りにスーパーに寄ったんだ。あたしの家から3丁目のスーパー白ひげまで行くのに踏切を渡らなきゃいけないだろ?
その踏切に引っ掛かって待ってたんだ。」



「お前、それって…!」



ゆいが何を言いたいのか、"踏切"と言う言葉を聞いて一瞬にして分かった。


それは今朝から皆が騒いでいた出来事だからだ。

ここから1番近い踏切で、昨日の4時ぐらい………





 








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