拾われなかった欠片の話 (1/4) 昼休み、エースとゆいは昼食を食べに屋上へと来ていた。 昼食を食べ終え、暖かな陽気に眠そうに欠伸を零すエース。 んーっと身体を伸ばせば、チラッとこちらを見たゆいと不自然な目の合い方をする。 「ん?」 目を合わせたっきり離そうとはしないエースと、バッと顔すら背けてしまうゆい。 お決まりの眉を寄せるその表情にニッと笑うエース。 今に気付いた、不愉快そうな顔がゆいの照れ隠しで。 気にかければ1日に何度もしている所が本当に可愛い。 最近流行りのツンデレってやつだ。 「ゆい〜?」 「………なんだ、」 「返事はするのに、こっちは向かないのな、」 「………っ」 ゆいにそう言えば、チラッと視線がこっちに来たのがわかった。 決してこっちに顔が向ききってないし、もっと言えば身体まで本来の角度から45°くらい反対側を向いている気がする。 短くも長くもないスカート丈から見えている白い脚を組み直し、45°からもっと反対側へと身体を反らしていく。 どうやら自分からは向きたくないらしい。 それなら……… 「よっと。」 「っ!?」 何が起きたのか、と後ろを向くゆい。 そこにはエースの背中がある。 所謂、背中合わせとやらをしている状況だ。 エース的にはゆいの目の前へと場所を移動するか、ゆいの身体を自分の方へ向けるか…少しだけ悩んだ。 だが、今日はいつもと違う感じで…まあ簡単に言えば、引いてみることにしたのだ。 その行動はゆいの気を惹くにはストライクな線を行っていて。 不思議な表情のゆいへとそのまま背中を預けた。 「あー、平和だな。」 「…なにをいきなり。」 「ゆい、知ってるか? 今日は1時から3丁目のスーパー白ひげでタイムセールなんだぜ?」 「お前はどこぞの主婦か…っ」 「お、ゆいん家にだったら嫁ぎに行っても構わねぇけど?」 「と、嫁ぐ…!?」 「そーだな、ゆいん家に嫁いだんならまずは……「勝手に嫁ぐなっ!//」 きゅっと接触している背中の面積が小さくなる。 それはきっとゆいが照れて肩を小さくしたからだろうな、なんて簡単に想像がつく。 見えていない分、実はこっちの方が楽しかったり。 ゆいだってきっと、今は人にはあまり見せない表情で照れてたりするのだろう。 いつもの人に表情を隠すゆいの息が切れないように、こういう時間が増えたらいいのに。そう思うエース。 ← | → |